セクハラ発言謝罪会見に当てた予定調和? 布川敏和、つちやかおりの“おしどり離婚会見が成功”の理由

――数々の芸能スクープをモノにしてきた芸能評論家・二田一比古が、芸能ゴシップの"今昔物語"を語り尽くす!

『布川家の防災ミーティング』(ベストセラーズ)

 つちやの浮気騒動をきっかけに別居が明るみになり、離婚は確定的とみられていた布川夫妻が6月24日に正式離婚した。

「今や"あの人は今"に出てきそうな2人ですが、今どきめずらしい離婚会見。しかも、名のある大手芸能プロではなく、2人一緒の個人事務所なので取材の締め付けもない」(ワイドショー)という相変わらずの弱い者イジメの構図で、押し寄せたメディアは70人近くに及んだ。

 その多くは、つちやの不倫疑惑を追及したが、「大切な人」であることは認めたものの、進展した話はなく、会見は大きな混乱もなく終了。今回の会見の舞台裏を覗くと、夫が先行、妻が後攻で行われた格好だ。

「この手の会見は後攻のほうが、相手の言い分を聞いて反撃できるので有利。浮気会見はつちやが先だったので、攻守交代したのでは」という話もある一方、「当日のほぼ同じ時間帯に鈴木章浩都議会議員のセクハラ発言の謝罪会見もあり、布川も夫婦一緒でないなら時間をずらしてくれないと各局の取材クルーが間に合わない」というマスコミへの配慮という話もある。

 ともあれ、2人の会見は型通りのもの。2人の話し合いによる円満協議離婚が成立。つちやの浮気疑惑を追及することなく夫が悪者という図式で幕引きした。

「布川はジャニーズの元アイドル。今も地方を中心に小規模のライブ活動などをしていますが、彼を支持するのは昔からの根強い女性ファンがほとんど。ここでつちやを攻めれば、女性陣から反発を受ける恐れもある。むしろ、妻を庇い自分を悪者にすることで“男を上げる”作戦だったと思います。長年、芸能界にいたことで培われたノウハウだと思います」(芸能関係者)

 結婚と違い離婚はマイナスのイメージがつきまとう。売れっ子の芸能人だったらなおさらだ。芸能関係者が話を続ける。

「仕事にも影響する。特にCM業界は離婚に神経質。契約中だったらペナルティーを与えるスポンサーもある。布川もつちやも現在、売れっ子でなかったことは不幸中の幸いだった(笑)。それでもダメージだけはできるだけ少なくしたいのが芸能人の本能です」

 別居していたとはいえ2人が同じ事務所だったことも好都合だった。離婚の話し合いもセッティングしやすければ、会見にあたって2人で打ち合わせもできる。要は話に矛盾点がでないようにすり合わせができるわけだ。

 これが事務所の違う夫婦が離婚ともなればややこしい。会見する、しないに始まり、会見の日時、順番。さらに話す内容と綿密な打ち合わせが事務所を通して必要になる。しかし、事務所同士が犬猿の仲だったりすれば打ち合わせもままならない。

 それでも離婚の場合、ある程度の想定問答ができる。著者自身も経験があるが、親交のある事務所から「どんな質問が出てきそうか」と想定問答の相談を受けたことがある。こんな質問が出るでしょう。それに対しての答え方もアドバイスしたりする。それを頭にインプットする。会見のテーブルの上に台本はなくとも頭の中には台本ができている仕組みだ。それほど離婚は芸能人にとって死活問題にもなり兼ねない事案なのである。今回の布川・つちやは成功の部類だと思う。ただ、決してプラスになったのではなく、以前のダメージを回復させる効果があったまでのこと。マイナスからゼロに戻ったに過ぎない。

 離婚というとFAXや自身のブログで発表して終わりというケースが大半だが、会見を開き自らの言葉で説明することは今の時代こそ意味がある。アナログの復活みたいなものである。著者の記憶では過去、夫婦揃って離婚会見を開いたケースもあった。記憶では千葉真一・野際陽子、石坂浩二・浅丘ルリ子、春風亭小朝・泰葉の3組。

「結婚会見をしたカップルなら離婚会見をするのがスジ」という言葉もあったが、今にして思えば「お見事」だった。だいたい離婚は浮気や金銭などトラブルがあったことから離婚に至るのだが、離婚する段階において円満に終わった場合は「円満離婚」と呼ぶ。ごたごたと引きずったままや、怨み骨髄だった夫婦では円満に離婚できないだろう。2人で揃って会見こそ、円満離婚を強調できるもの。布川とつちやも円満だったら一緒に会見するのも一案だったと思う。都議との会見がかち合ったなら、離婚会見は後日、大きく取り上げてもらいそうな日にずらす手もあったはずだが……。

ふただ・かずひこ
芸能ジャーナリスト。テレビなどでコメンテーターとして活躍するかたわら、安室奈美恵の母顔が娘・奈美恵の生い立ちを綴った「約束」(扶桑社刊)、赤塚不二夫氏の単行本の出版プロデュースなども手がける。青山学院大学法学部卒業後、男性週刊誌を経て、女性誌「微笑」(祥伝社/廃刊)、写真誌「Emma」(文藝春秋/廃刊)の専属スタッフを経て、フリーとして独立。週刊誌やスポーツ新聞などで幅広く活躍する。現在は『おはようコールABC』(朝日放送)、『今日感テレビ』(RKB毎日放送)などにコメンテーターとして出演。

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