――東方神起のブレイクから始まった日本国内におけるK-POPアイドルブームはやがて、有象無象のグループが日本デビューする混乱状態となった。その後、大統領の竹島上陸事件などで日韓関係が悪化し、時を同じくしてK-POPの大ヒットも激減。嫌韓感情の向かう先のひとつでもあったK-POPは、政治的理由で終わってしまったのか?
11年K-POPイベント「東京伝説」に出演した東方神起。グループが分裂し、2人になった後も引き続き日本での活動を行なっている。
今年1月、“世界の韓流ファンの規模が928万人に達した”と、韓国国際交流財団が発行した白書「地球村韓流現況第2編」で発表された。韓流ファンは前年に比べ258万人増加し、韓流に馴染みの薄かったアフリカ・中東地域にまでファンの規模が拡大したとのこと。この調査によれば依然として韓流・K-POPの勢いはとどまることを知らない! ということだが、ここ日本ではどうだろうか?
日本でいわゆる“K-POPブーム”と言われていたのは、2010年から12年の上半期前後だ。東方神起の大ブレイク(とグループ分裂騒動)を契機として、若い世代を中心にK-POPに注目が集まりはじめ、KARAや少女時代などを筆頭にグループアイドルが続々日本進出・デビューを果たした。メディアもこぞって飛びつき、地上波では毎日のように韓国ドラマが放送され、音楽番組にK-POPアイドルが出演する機会も急増。また東京・新大久保のように”K-POPの聖地”と呼ばれる人気スポットが誕生しただけでなく、ウォン安の影響も手伝って日本人渡韓者も急激に増えた。12年には日本人の韓国旅行者が351万人を突破し、史上最高を記録したほどだ。
しかし一方で、そんなK-POP絶頂期の最中の12年、韓国社会で反日動向が目立つようになる。ロンドン五輪サッカーでの“独島(竹島)は我が領土”騒動、李明博前大統領の竹島上陸・天皇への謝罪要求、そして対馬の仏像窃盗事件……などなどが次々に勃発。その結果か、日本でも嫌韓ムードが一気に高まり、13年の韓国への日本人旅行者は274万7750人と前年比マイナス約22%となった上、14年の1~3月にはそこからさらに20%以上減っているというから、12年のピーク時からほぼ半減している。
そうした親韓機運の低下と共に、日本での韓流・K-POP需要も減少傾向に入った。韓国音楽著作権協会(KOMCA)の資料によれば、13年に日本音楽著作権協会(JASRAC)からKOMCAに支払われた音楽著作権料は67億586万ウォン(約6億2000万円)と、12年の110億ウォンから4割以上も激減。ここから円安ウォン高による為替差損分を差し引けば、こちらも半減といえるだろう。
パッケージの売り上げ減も顕著だ。今年5月に朝鮮日報が報じた「12・13年のK-POPの日本国内CD売り上げ枚数」(韓国コンテンツ振興院日本事務所調べ)によれば、シングルは177万2691枚から144万3930枚に、アルバムは124万3061枚から88万7144枚に、音楽DVDは67万7286枚から30万1327枚にと、すべて減少傾向である。
主要アーティストのCD売り上げを見てみても、例えば“K-POPブーム”の象徴ともいえる少女時代は、12年6月のシングル「PAPARAZZI」の13・6万枚を最後に、累計売り上げ枚数で10万枚を突破するものはなし。次にリリースした同年11月発売の「FLOWER POWER」では累計3・7万枚と一気に落ち込んだ。KARAも同じく、12年3月リリース「SPEED UP/GIRLS POWER」の15・8万枚から、同年10月の「ELECTRIC BOY」では7・6万枚と半減している。