――ここ2~3年、愛国系デモや抗議活動の中で、若い女性を目にする機会が増えた。「こんな活動してると、男ウケはめっちゃ悪いですよ!」と笑う彼女たちの活動生活とは、どんなものなのか? 日本の何を憂い、何に怒りを覚えるのか? 関西で一目置かれる女性活動家3名を招き、その素顔に迫った。
(写真/高田 遼)
時には街宣車に乗って、時には街中で拡声器を持って、何やら大きな声を上げて抗議しているのは怖いおじさんばかり……と思いきや、最近、右翼活動や、市民活動に参加する若い“女性愛国家”たちが増えている。しかも彼女たちは、ヒールの高いパンプスにワンピース、巻き髪に可愛らしいネイルと、一見、そうした活動とは無縁そうな、キレイな女性たちばかりなのだ。果たして、そんな彼女たちを奮い立たせたものとは一体――?
――中谷さん、スタイルいいですね! つい、おっぱいに目が……。
中谷良子(以下、中) ありがとうございます(笑)。そんなことないですけど……ポールダンスとベリーダンスをやってるので。
アユ(以下、ア) それで鍛えてるんや。お人形さんみたい!
ミリー(以下、ミ) 鍛えるといえば、デモもいい運動ですよ。ジェリーちゃん(中谷氏の愛称)は底の高いヒールでずっと歩いてますから、余計に引き締まるはず。
――それは、体張ってますね……そのデモを含め、現在はどんな活動をされているんですか?
ア 私は今、「日本民族行動会議」という、民族派右翼団体で修業中です(ハート) 現在は主に、自民党の公的資金問題【註1】と「河野洋平官房長官談話」【註2】についての抗議活動などを行ってます。
中 私は、6年前から「現代撫子倶楽部」を立ち上げて活動しています。といっても、所属しているのは私ひとりで、あとは随時集まってもらうんですけど。最近なら、私も、「河野官房長官談話」をめぐって、河野氏と朝日新聞に対し、証人喚問を要求する街頭演説を2カ月間、毎日やってました。また、アメリカの慰安婦像の設置問題についても反対運動と募金活動を行ってますし、ほかの団体の活動にも参加したりしています。
ミ 私は、どこかに属しているわけではないんですが、ジェリーちゃんとは、一緒に活動をさせてもらうことが多いです。あとは、在日特権を許さない市民の会(以下、在特会)の活動にはよく参加してますね。在特会の「行動する保守運動カレンダー」に書かれている街頭演説やデモのスケジュールをチェックして、日の丸の旗を持って駆けつける、という感じです。
――アユさんは右翼団体に属していて、中谷さん、ミリーさんは個人での活動になるんですね?
中 扱いとしては、「日本民族行動会議」のように、選挙管理委員会に届け出をしている団体が「政治団体」、私たちのように個人レベルで活動する人たちは「市民活動家」というふうにくくられます。
ア いち政治団体として活動している分、私たちには規約もあれば、選管への活動報告の義務もあります。組織としては、企業と同じようなもので、もらおうと思えば、本来はお給料だってもらえるはず……(同席していた団体代表を見ながら)なんですよ(笑)。
中 私たちの場合は、なんの後ろ盾もないので、100%手弁当です。交通費のほかに、1回の街頭演説の申請にかかるお金がだいたい2000円くらい。4~5月は毎日だったので、2カ月で2万円くらいは活動費用に使いました。
――そもそも、活動を始めたきっかけはなんだったんですか?
ア 高校生の時に街宣車を見て、「かっこいいー! 乗ってみたい!」って思ったのが、最初ですね。
――女子高生が!? そういえば、アユさんのケータイの待ちうた、長渕剛の「神風特攻隊」でしたけど……趣味が渋いんですね。
ア 長渕めっちゃ好きなんですよ~。前は、軍歌にしてたんですけど、それはさすがにやめました。で、なんでこんなに活動にハマってしまったかっていうと、実は私、小学生の頃に、韓国籍の女の子にイジメられてたんです。「うちが何したん?」って聞くと、「日本人に恨みがある」って言われて。訳もわからず、私は謝り続けることしかできなかったんですね。それから「日本が何したんやろ? 日本ってなんなんやろ?」っていう疑問が常にあって。それで、社会人になってから、たまたま「日本民族行動会議」の細田政一議長の演説を見て、「こんな信念を持って日本の歴史とか社会と戦ってはる人もおるんや」って感動したんです。私も議長みたいに、自分の意見を言えるようになりたいと思って、3年前から本格的に勉強させてもらってます。
中 私はね、2009年に起きた「ウイグル騒乱」【註3】がきっかけだったんですよ。それまで、本とか読まなかったし、政治にも興味なくて。でも、正義感だけはあったんですよね。それで、ウイグルの暴動の様子を見て、「嘘やろ? 日本はこんなに平和なのに、そんなこと起こるわけないやん!」って、衝撃を受けたんです。調べていったら、中国が東トルキスタンで核実験を行っていたことや、一連の騒動について中国では報道規制が敷かれていることなどを知りました。その時、私はこの中国のやり方に怒りを覚えて……「フリーウイグル」や「フリーチベット」デモに参加するようになったのが、始まりだったんです。
ミ 私は、もともと政治には疎くて、ほんの2年前までは、自分がこういった活動に参加することになるなんて夢にも思わなかったんです。それが、12年に李明博前大統領が竹島に上陸した後、天皇陛下に対して「韓国に上陸したければ独立運動家に謝罪せよ」と発言したのを聞いて……天皇陛下に特別な興味を抱いていたわけでもないのに、陛下を侮辱することは許せないと思ったんです。そこから、保守派の政治ブログなどを読むようになり、韓国がいかに反日な国かを知り、毎月在特会に寄付をするようになって、徐々に活動にも参加するようになっていきました。