【北方謙三】「草食男子? 大歓迎。乾いた女は俺がやる」巨匠が語る人生のススメ

――ハードボイルドから歴史ものまで、一貫して男の物語を紡いできた作家・北方謙三。男性読者ならば誰もが師と仰ぐ御大に、圧倒的肯定感で生き抜くその人生論を聞いた。

(写真/江森康之)

 実に16年にもわたって連載された「ホットドッグ・プレス」(講談社)誌の名物連載「試みの地平線」と共に大人の階段を上ってきた我々世代にとって、男の師といっても過言ではない作家・北方謙三。

 今回、中国叙事詩『史記 武帝紀』の文庫版完結を記念して、御大を直撃。すべてにおいて男らしい北方ワールドの魅力に肉迫した。

──そもそも、『史記』を題材に選ばれた理由というのは?

北方 『史記』には当然原典があるんだけど、今回題材に取った武帝に関する記述は非常に短い。だから、漢書なんかを読み解いて、そこから物語を構成していくんだけど、もともとがないに等しい原典ということもあって人物についてはわからないことが多いわけ。

 ただ、だからこそいろんな試みができるし、そこに小説としての面白みも生まれてくるんだ。

──そういった“ミッシングリンク”にドラマをちりばめるのが、北方流というわけですね。ちなみに、『水滸伝』の執筆当時、思い入れのあるキャラが死んだときに、ご自身で献杯されていたとか?

北方 というより、弔い酒だね。そのときは行きつけの店で飲んでてさ。ふだんは店の若い子たちと騒いでる俺が黙って飲んでるから、ママが心配しちゃって、「いや、20年つきあった友だちが死んだ。俺が殺したんだよ」って言ったら、「そういうときは一緒に飲もうよ」と。でも、せっかく優しくしてくれたのに、結局ママのほうが先にツブれちゃったから、肝心の「小説の中で」って言えなくて。

──もうそのまま短編小説になりそう。

北方 いやいや、実際に体験したことってのは紙の上では再現できないよ。小説ってのは想像の産物でしかないからね。

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2024.11.25 UP DATE

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