孫社長の後継者は爆速ヤフー宮坂社長かあのアリババ会長か!?

子会社ヤフーを振り回すソフトバンク

親会社ソフトバンクが買収したばかりのイー・アクセス+ウィルコムを、子会社であるヤフーが買い取るというなんだかよくわからない買収劇が、3月に発表され5月にはご破算に。そのウラにあるのは、当の親会社ソフトバンクのフトコロ事情が棚ぼたで急に改善されたからという、ある意味わかりやすい事情のようで……。

A:IT系ジャーナリスト 
B:通信業界コンサルタント
C:全国紙の経済部記者
D:IT業界に強い証券アナリスト

『爆速経営 新生ヤフーの500日』(日経BP社)

A 今年はIT業界でも何かと大きな出来事が相次いでいますが、5月14日に発表されたKADOKAWAとドワンゴの合併には驚きました。大手の出版社が、新興のIT企業と対等合併するんですから。

B 一部では、ドワンゴの川上量生会長の奥さんで経産省のキャリア官僚である須賀千鶴女史のバックアップがあったなんて噂もありましたね。彼女は東大法卒で同省ではクールジャパン政策を担当しており、KADOKAWAとドワンゴとは職務上も近い関係にありますから。

C 彼女は省内でも着々と成果を上げていて、茂木敏充・経産大臣にも、かなりかわいがられているとか。経産省としても、KADOKAWAドワンゴによる世界進出はクールジャパン政策の後押しになりますからね。

D しかしKADOKAWAは、かつて前社長の角川春樹氏と歴彦氏によるお家騒動と分裂騒ぎで世間を騒がせた過去があり、実は古い体質を残している。労働組合も強いため、簡単にはリストラもできません。イマドキIT企業と一枚岩になるのは、実はかなり難しいのかもしれない。

A 場合によってはご破算になることだって考えられる。その際、もし須賀さんが裏で合併をバックアップしたのが本当だったら、川上夫妻の仲にもヒビが入るかもね(笑)。

B 合併話といえば、ヤフーによるイー・アクセス+ウィルコムの買収もありましたね。3月にそのことがアナウンスされるも、結局は取りやめることが5月に電撃発表【1】されたという。

D イー・アクセスとウィルコムの合併自体は当初の予定通りに実施されるんですよね。で、合併後の新会社の名称が、ヤフーによる買収発表の時にアナウンスされた「ワイモバイル」のままだっていうのが、しっくりきませんが(笑)。

A でも実際、両社の合併は6月1日に実施されたんですが、社名変更は後日実施と発表されました。具体的なスケジュールが明らかにされてないので、もしかしたら社名変更もなかったことにされるのかも。

D ヤフーの株価も、買収中止が発表されたことで上がりました。マーケットも、この買収はマイナスだと見ていたというわけです。

C 買収発表当初から批判の声が大きかったのは事実です。ヤフーが抱える多額の現金を親会社のソフトバンクに移すことと、総務省による新たな電波割り当てを有利にするためという、親会社であるソフトバンクの事情だけで決められていましたから。

A 買収取りやめの表向きの理由は「イー・アクセス+ウィルコムの通信サービスと、ヤフーのインターネットサービスのそれぞれの強みを活かして、協業したほうが良いという結論になった」というもの。そんなことは当初からわかっていたんですから、理由になっていない。

D 背景としては、ソフトバンクの投資先の中国企業「アリババ」が今夏アメリカ市場に株式上場することが決まり数兆円の含み益を生み出したため、ソフトバンクは資本調達がしやすくなったこと、また総務省の電波割り当ての方針変更で、イーアクセス+ウィルコムを子会社に持ったままでも新たな電波割り当てを受けられるメドが立ったということがあります。つまり、当初の合併の根拠がどちらも失われてしまった。

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