――このところ、各地のホビー系イベントに突如として巨大な戦車模型が出現している。「プラモデルを1/1で作る会」なる団体が製作したというこの戦車はなぜ? どうして作られたのか……?
(写真/酒井 透)
4月、千葉県の幕張メッセで開催された「ニコニコ超会議3」の会場に、異様な鉄の塊がそびえ立っていた。その名も「ドイツ軍空挺戦闘車ヴィーゼルⅡ」。会場を行き交う人が足を止め、スマホで写真を撮っていく。真横には「歌ってみた」のライブ会場があり、人通りがひときわ激しい。観客は「なぜ、こんなところに戦車が?」と怪訝な顔をしながらも、人ごみの中で圧倒的な存在感を放つ戦車にしばし見入っていた。
この戦車、もちろん本物ではなく、原寸大の大型模型だ(本物だったらエラいことである)。しかし、模型といってもミサイルランチャーはラジコンで旋回するほか、走行することもできる。全長4・5メートルで重量は1・9トン。「作ってみた」(デジタル、アナログ問わず製作系動画に付くタグ)にしても、あまりにも大掛かりだ。
このとんでもない戦車模型を製作したのは、岐阜県に住む大橋保彦さんと、大橋さんが代表を務める「プラモデルを1/1で作る会」のメンバー。大橋さんも含め、メンバーの多くは技術系の仕事をしている。会場でお会いした大橋さんは軍服に身を包み、どことなく高級将校の風格が漂う。