日米首脳会談の裏で甘利大臣がぼやき節「TPP交渉、もうイヤ!」

きらびやかな歓迎式典の陰では……

東京都内のコインロッカーが前面使用禁止になるなど、厳戒態勢が敷かれたオバマ大統領の三度目の訪日。しかも今回は前2回とは違って国賓対応となったことで、多くの歓迎式典なども開催され派手な報道もなされた。しかしその陰で、TPP担当大臣のアノ人はずいぶんとお疲れだったご様子なのだが、さて、その真相は……?

A:経済専門誌中堅記者 
B:全国紙経済部デスク
C:全国紙政治部中堅記者
D:テレビ局経済部若手記者

『図解 だれでも簡単にわかる! 日本の食とTPPのしくみ』(綜合図書)

A 今年のゴールデンウイークは、大臣の海外外遊ラッシュでしたね。安倍晋三首相が欧州6カ国を歴訪したのを筆頭に、安倍内閣の8割に当たる15人の閣僚が海外に出たとか。

B 相変わらずの安定与党で、政権を揺るがしかねない案件もないから、ここぞとばかりに海外行脚に励んだというわけか。それに、夏にも内閣改造がありそうだから、交代が噂される石原伸晃環境大臣や新藤義孝総務大臣あたりは思い出作りの意味合いもありそうだな。

C 例年ゴールデンウイークに外遊する大臣は多いんだけど、今年は国内居残り組が菅義偉官房長官、谷垣禎一法相、古屋圭司国家公安委員長の3閣僚だけ。政治部や経済部の各省庁担当記者は、ゴールデンウイーク返上で大臣のお供に世界を飛び回った。

D 外遊の同行なんて観光する余裕もないですから、家族や恋人の機嫌を損ねるだけ(苦笑)。1回の外遊で数カ国を訪問するから、現地に着いてホテルにチェックインしたら、すぐに大臣の訪問先についていって、それが終われば事務方のレクチャーを受けて原稿執筆、その後ホテルの部屋でちょっと寝たらすぐに次の国に出国。さらに時差の関係で、日本の締め切り時間通りに原稿を出せるか常にヒヤヒヤですからねえ……。

C 総理の外遊取材だったら用意されている政府専用機に乗り込むだけで済むんだけ【1】どねえ。

B しかも、ウン十万円も使って同行しても、大臣クラスの出張じゃあ大きな案件もないから、たいした原稿も出てきやしない。最近はどの新聞社も経営難だからコスト重視で、あまりにもつまらない外遊には、付き合わない社も少なくないからね。

C でも、外遊をアレンジする官僚も必死【2】。同行記者があまりに少ないと大臣にキレられるから、少しでも同行記者を増やそうと必死にアピールしてきますからね。それで悲惨なのは、ある大臣の海外出張にしぶしぶついていったら、同行してなかった某紙のほうが1面トップで「◯◯大臣がA国で条約締結を表明」なんてスクープ。デスクからは「なんで同行してない社に負けるんだ!」とドヤされたことも……。

『甘利大臣』
自民党所属の政治家で衆議院議員の甘利明氏のこと。第2次安倍内閣のもとでTPP担当大臣に就任。13年12月に早期舌がんが発見され首相に辞任を申し出た  が強く慰留されたという。

B 外交というと、4月下旬のオバマ大統領の訪日は盛り上がったな。ワイドショー的には銀座の高級寿司店「すきやばし次郎」での寿司屋会談ばかりが注目されたが、我々マスコミはTPP取材で駆けずり回っていたな。

A 全国紙やテレビは、政治・経済・外報部が総力戦で取材に当たったようですね。各社が追いかけたのは、オバマ大統領と一緒に来日して甘利明・TPP担当大臣と交渉に当たった米通商代表部(USTR)のフロマン代表。フロマン代表はハーバード大学時代からのオバマ大統領の友人で信頼が厚く、ハーバードのロースクールを首席で卒業、通商交渉を取り仕切るUSTRのトップとしてTPP交渉を取り仕切ってきた人物。弁護士出身とあってとにかく細かい性格な上に疲れ知らずで、日米首脳会談前日の23日の協議は、なんと翌午前3時にまで及びました。

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