他人の記事をタダで"まとめ"て30億円!LINE上場の背後で急成長中「NAVERまとめ」の正当性

――昨今、話題のキーワードを検索すると、常に上位に表示されるようになった「NAVERまとめ」の記事。“キュレーション”といえば聞こえがいいが、しかし、“コピペ”でまとめられたオリジナルコンテンツの著作者たちにとって、これは死活問題で……。果たして、その法的正統性やいかに?

『今からはじめるNAVERまとめ』(マイナビ)

「NAVERまとめ」がPVを荒稼ぎしている。

 運営元のLINE株式会社(以下、LINE)が今年発表した資料によると、同サービスの14年1月末時点の月間PV数は、約23億5000万で過去最高値を記録。同時に、ユニークユーザー数も6200万に達したという。13年の同月には、それぞれ12億2800万PV、ユニークユーザー数4100万だった「NAVERまとめ」は、1年間でその集客数を1・5倍以上伸ばしたことになる。

 同資料内には、LINEが企業の商品PR用に作成する、「NAVERまとめ」の記事1本あたりの料金も掲載されている。13年4月には150万円(5万PV保証)だったその額は、14年4月時点で1本250万円(15万PV保証)にまで上昇。同サービスが、ウェブ広告媒体として確固とした地位を固めたと同時に、収益も着実に増えていることを予測させる内容だ。LINEは過去に、「『NAVERまとめ』で12年に5億円、15年に30億円の売り上げを目指す」とブチ上げていたが、“絵に描いた餅”ではなかったのかもしれない……。

“まとめるだけ”記事は80万PVで2万円

 そもそも「NAVERまとめ」とは、さまざまな情報を一般ユーザー(編集人、キュレーター)の視点で収集し、組み合わせてひとつの記事として配信するという、いわゆるCGM(消費者生成メディア)型サービス。その謳い文句は、ずばり「情報をデザインする。キュレーションプラットフォーム」だ。サービス内には、ウェブ上にある記事や写真などを検索、まとめる機能が完備されており、人気のあるまとめを作ったユーザーに対しては、PV数に応じて報酬を支払う仕組みが提供されている。実際に利用した編集人によると、「80万PVで2万円」「370万PVで約3万円」と、その額はお小遣い程度だが、ただ“まとめる”だけで得られることを考えれば、決して悪くはないだろう。

 しかし、この「NAVERまとめ」は、サービス開始以来、ある批判にさらされ続けてきた。それは、著作権侵害。言いかえれば“キュレーション”とは名ばかりの「パクリ転載サイト」ではないかという指摘だ。

「NAVERまとめ」に転載されている創作性の高い記事、写真などには、著作権が発生する。ところが「NAVERまとめ」では、そうした著作権が認められるコンテンツが無断転載されていたり、時にはまるまる使用され、一般に公開されてしまうケースがある。そのため、ウェブ上では著作権者からの怨嗟の声が絶えない。ウェブ上には、「ブログがまるまる引用された」「ウェブ用素材が無断で使用された」などの告発に始まり、「まとめ削除をLINEに要請した」などといったトラブルの報告が散見される。しかも、時間的、経済的代償を払って元著作物を作った人々には何か還元されるわけではない。この“タダ乗り”システムも、「NAVERまとめ」への批難の要因となっているようだ。

 また、一般ユーザーだけではなく、企業がまとめの公開停止を要請する例も出てきている。13年5月には、料理レシピ共有サイト大手「クックパッド」が、自社の有料コンテンツが侵害されたとし「NAVERまとめ」に対して公開停止を求めた。実のところ小誌も、12年6月に記事をほぼ丸ごと転載され、まとめの削除を求めたことがある。

 こうしたトラブルの増加を受けたLINE側は、過去に「24時間モニタリングする部隊を設けている」「インセンティブの支払いの停止措置を取っている」(CNETJapan「NAVERまとめでは『不正をしても無意味』──NHNが転載問題を語る」より)などといった立場を示しているが、トラブルがやむ気配はない。

著作権侵害はすべて“編集人”の責任に

 では、法的に見た時、「NAVERまとめ」には違法性があるのだろうか?

「日本の場合、原則的には他人の著作物を許諾なく複製したり改変したりすることは、法律上、許されていません」

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