【アイドル・西田藍】「制服に宿る権威性。ナチスにも似た……」

――ミスiD2013の文芸アイドルが業深き"制服愛"を語り倒す!

ディックの名作と私。ドイツ女子同盟の女の子はどんな気持ちで制服を着てたのかな。

 中学時代のある日、セーラー服のスカーフのアイロンを失敗して熱で溶けちゃって、そのまま付けずに登校したら、先生たちにかなり注意された。このスカーフはそんなに重要なものだったの? 不思議だった。

 今現在、学生服を管理の象徴だとか悪しき慣習だと思っている若者は少ないと思う。私もそうだった。けれど、中学時代着ていた福岡市共通の標準服は、学校らしさがない分、なんか余計それを醸し出してるような、気がした。

 無関係だと思っていた第三帝国趣味が、そんな私に制服への別の見方を示してくれた。P・K・ディック『高い城の男』(ハヤカワ文庫)を読んだのが、そのきっかけ。同作は第二次世界大戦で枢軸国が勝利した後の世界が舞台で、ナチスドイツと大日本帝国は冷戦状態。日本人はわりとお人好しに描かれ、極悪非道はナチスの担当。狂気のさなかにある架空の戦後ナチスは、可笑しい。しかし狂気の元は、歴史にある真実。元宣伝大臣のゲッベルスは作中で、こう評される――「ほとんど狂気に近い管理意欲を持っております……彼の根底にある野心は……純粋な手段としての権力」。

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2024.11.25 UP DATE

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