群雄割拠のソシャゲに大手メーカーも参入! 大混戦の最新ゲーム業界図

パズドラに触発された他社作品が、今夏あたりに花開くかも?

 14年2月22日、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の据え置き型ゲーム機・プレイステーション4(PS4)が日本で発売された。「スマホゲーム全盛の今、ハイスペック志向は時代遅れ」という一部下馬評に反し、発売後2日間の販売台数は32万台。PS3発売時の約4倍という好スタートを切った。北米などでは昨年11月に先行発売されており、3カ月で530万台を超える販売数をマーク。国内外ともに、SCEの予想を超えた格好となった。

 ちなみに、同じ据え置き型ゲーム機でファミリー向けを打ち出したWii U(12年)は約152万台(13年12月現在・ファミ通.com調べ/以下同)と大苦戦し、250億円の今期最終赤字を象徴する任天堂のお荷物になっている。先代Wiiの累計販売台数が約1274万台と国民機化しただけに、かつての覇者の凋落ぶりには目を覆うばかりだ。逆に携帯型ゲーム機は任天堂がSCEに圧勝。ニンテンドー3DS(任天堂)の約1469万台に対し、SCEの超ハイスペックマシンPlayStation Vita(PS Vita)は約228万台と、悲しいほど命運がわかれている。

 そんななか、コアなゲーマーであるほど、国産ゲームではなく、海外製ゲーム(洋ゲー)志向が強まっていることは覚えておきたい。(洋ゲーについてはこちらの記事参照)

「日本市場の洋ゲー:邦ゲーの売れ行きは4:6程度ですが、洋ゲーの販売タイトル数はどんどん増えていて、とにかく勢いがあります。シリーズで大ヒット中の『グランド・セフト・オート』並みの作品だと、全世界で1000万本規模で売れますから、制作費も200億円くらいかけられる。その分、グラフィックもボリュームも極めてリッチに仕上がりますので、ハイエンド志向のゲーマーの琴線に触れるんですよ」(洋ゲー販売メーカー社員)。日本版では規制されるものの、洋ゲーは殺人・残酷描写が多く収録されているものも多く、そこも大きな魅力になっている。

 では日本のメーカーも洋ゲーのようなゲームを作ればいいのでは? とも思うが、実はそうもいかないようだ。

「日本では、04年に発売された携帯機のニンテンドーDSが大ヒットしたばかりに、携帯機に向いた単純でシンプルなゲームが多く作られ、据え置き型ゲーム機に見られる高度なグラフィックを追求する気勢が削がれました。技術力が止まってしまったと、よくいわれます」と語るのは、ある国内ゲームメーカーに勤める開発者。

 一方、洋ゲーで主流のFPS(一人称視点のシューティングゲーム)は、現実世界を模した圧倒的にリアルなグラフィックが特徴だが、携帯機の仕様はそれを追求するようにはできていない。しかも日本では海外ほどFPSが好まれないので、需要自体が小さい(最大でも50万本クラス)。代わりに、『THE IDOLM@STER』などで採用されているトゥーンレンダリング(アニメっぽい質感の3Dグラフィック)に代表される、リアルからはほど遠い、しかも日本でしか需要がない技術表現が進化してしまったのだ。

「93年代、当時の技術を結集して作られた世界初のポリゴン格闘ゲーム『バーチャファイター1』は、スミソニアン博物館に展示されるほど世界的に評価されましたが、その続編「5」の開発陣は今、初音ミクのゲームを作っています。セガの看板技術の矛先が、ミクにむけられているのです」(同)。……なんだか、やるせない気持ちになってくるのはゲーム好きだけだろうか?

ソーシャルゲームの波で塗り変わる業界地図

 ここまではコンシューマ(家庭用)ゲーム、つまり専用ハードと専用ソフトで構成される市場の話。しかし現在のゲーム業界には、それと双璧をなす大きな市場が出来上がっている。PCのブラウザやスマホで動作して、専用ハードを必要としない、オンラインプラットフォームの市場である。そしてこの中でも、ネットワーク接続を前提とし、プレイヤーがアカウントを取得したSNSベースのゲームポータル上で展開されるゲームを「ソーシャルゲーム(ソシャゲ)」と呼び、目下ゲーム業界の一大潮流となっているのだ。

 多くのソシャゲは基本的には無料でプレイでき、ゲームを有利に進められるアイテムや、新しい展開のストーリーを購入(=課金)することで収支を成立させている。何万円もする専用ハードを購入しなくてもよい手軽さも手伝って、オンラインプラットフォーム市場は、12年に家庭用ゲーム機市場を金額ベースで初めて上回った(オンライン:約4943億円、家庭用:約4833億円)。

 ここで今一度、ゲーム市場に登場するさまざまな会社の位置付けを整理しておこう。

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