失言NHK籾井会長天下り時代の評判と財界人事のウラ側

三井物産時代から評判は最悪!?

失言を連発し、多くのメディアから大バッシングを浴び続けているNHKの籾井勝人会長。どうしても安倍首相との近さや日本の右傾化の文脈でのみ語られがちな彼の舌禍だが、そもそも三井物産の副社長時代、そしてそこから天下った日本ユニシス社長時代にはどのような経営者だったのだろうか?

今井彰『ガラスの巨塔』(幻冬舎)

 失言を連発し、多くのメディアから大バッシングを浴び続けているNHKの籾井勝人会長。どうしても安倍首相との近さや日本の右傾化の文脈でのみ語られがちな彼の舌禍だが、そもそも三井物産の副社長時代、そしてそこから天下った日本ユニシス社長時代にはどのような経営者だったのだろうか?

A…全国紙経済部デスク 
B…全国紙政治部中堅記者
C…経済雑誌中堅記者
D…全国紙経済部中堅記者

A NHKの籾井勝人会長の問題が随分と炎上し続けているな。

B 1月の会長就任会見で、従軍慰安婦問題について「どこの国にもあった」などと発言したことが問題視され、国会でも袋だたきにあいましたね。その後もNHKの理事全員に辞表を書くよう求めたことが暴露されても「一般社会ではよくあること」と抗弁するなど火に油を注ぎまくって、国会で民主党議員から「あなたも経営委員長に日付けのない辞表願を出してください」と追求されてました。結局、経営者としては実際のところどうなんですか?

『NHK籾井会長』
1日本放送協会の第21代会長・籾井勝人氏のこと。1943年、福岡県生まれの71歳。65年に三井物産に入社、05年に同社副社長から日本ユニシス社長へ天下った。

C 営業マンとしては優秀だったようですよ。籾井さんは主に三井物産で鉄鋼畑を歩みましたが、強気の営業スタイルで「ブルドーザー」とも称され、一時は社長候補としても名前が挙がりました。ただ、当時の三井物産は鈴木宗男事件のひとつである国後島ディーゼル発電施設をめぐる不正入札事件で2002年に社員が逮捕されるなど大揺れの時期。そのため、暴れん坊の籾井さんでなく安定感のある槍田松瑩・現会長が社長の座を射止めました。

B 要はトップにまでは上り詰められなかった人というわけですか。

C そう(笑)。結局、籾井さんは副社長を最後に三井物産幹部の天下り先だった日本ユニシス社長に出され、05年から11年まで社長職に就いたけど目立った成果は挙げられなかった。高い目標を掲げるだけで実績が伴わない、典型的な落下傘社長【1】ですね。

B 籾井さんが日本ユニシスの社長時代に銀座のバーで泥酔して暴れて出入り禁止になったなんて「週刊新潮」(2月6日号)が書いてましたが、今どきの企業トップとしては珍しいんじゃないですか。

C 大企業のトップを経験していれば、記者会見や新聞・雑誌のインタビューを日常的にこなすようになるし、少しでも問題発言があれば大きく報じられるから自ずと適切な発言というものがわかるようになりますよね。日本ユニシスの社長ぐらいじゃあ、お山の大将でそんな経験もしてこなかったんでしょう。

D そういや籾井さんって、誰がNHK会長に推したんですか?

C 安倍晋三首相と近いから選ばれたという論評もあるけど、要は安倍首相の財界応援団である「さくら会」重鎮の古森重隆・元NHK経営委員長(富士フイルムホールディングス会長)が推したようです。一部のマスコミが籾井さんを「情報通信分野に明るい」とか書いてたけど、笑っちゃいますよね。

今すぐ会員登録はこちらから

人気記事ランキング

2024.11.22 UP DATE

無料記事

もっと読む