AGAスキンクリニックを開業し、日夜、育毛治療に取り組む麻生泰氏。かつて自らも着用していたカツラの実害や怪しいビジネスについて、正論・異論・暴論を呈す!
今月の格言
恋人に告白するのも四苦八苦……カツラが抱える“副作用”とは!?
『間違いだらけの薄毛対策』(幻冬舎)
前回予告した通り、今回は薄毛に悩む男性なら誰もが気になるアノ問題、カツラ失敗談の「恋愛編」をお送りします。
そもそもの前提として、カツラをかぶっていて最も悩ましい問題のひとつは、性別を問わず、親しくなった人に「いつカミングアウトするか」ということ。恋愛の話に入る前に、研修医時代に僕が体験したエピソードを紹介しましょう。
研修医はとても忙しく、当直で個室にいるときだけが唯一、解放される時間です。僕は形成外科で子どもの先天奇形を専門にしていたのですが、深夜にカツラを外して仮眠をとっていると、手術を控えた患者さんが体調を崩してしまい、急きょ呼び出されたことがありました。
緊迫した空気の中で指示を出していると、当時でいう「看護婦さん」たちがキョトンとしている。ひと通りの処置を終え、落ち着いてカルテを書いているときに、「……先生、お忘れじゃないですか?」とひとこと言われました。僕はなんのことかさっぱりわからなかったのですが、そう、みなさんのご想像の通り、カツラをつけ忘れていたんです。
幸いにして小児科の先生たちは優しく、「ドンマイ」みたいな感じで受け入れてくれました。けれど、裏でどんなことをいわれているのかと想像すると、登校拒否をする子どもの気持ちがよくわかる(笑)。もうひとつつらかったのが、薄毛を隠さないで、上司から「キューピー」と呼ばれる先生がいたこと。僕はそれを黙って見ていたわけで、その先生からは「俺だけには、言ってくれてもよかったんじゃないか……」と言われてしまいました(笑)。カミングアウトするタイミングを逃すと、こういう思いを味わうことになるんです。
さて、本題の「恋愛」というテーマですが、男はやっぱり「ハゲを隠さないと女の子とは付き合えない!」と思うじゃないですか。だから、カミングアウトするのは、まさに“いざというとき”になることが多い。とにかく早く電気を消してコトを済ませて、朝方くらいに「なんか薄くない?」と気づかれる(笑)。覚悟をしていても、そのリアクションには堪えるものがあります。