【安藤サクラ】福島・警戒区域を舞台にした作品で28歳の女優が見たもの

――まだ28歳ながら、邦画の名脇役女優といえば必ず名前が挙がってくる安藤サクラ。数々の作品で名演・怪演を見せてきた彼女が魅せられた映画とは?

(写真/永峰拓也)

 もともと、そんなにたくさん映画を観るほうではないんです。DVDではほとんど観ないですね。最近劇場で観て「ヤバい」と思った作品でいうと、新文芸坐(東京・池袋)でやっていた『天国の門』【1】。これはずっと大きなスクリーンで観たいなぁと思っていて。ハリウッドが大騒ぎになるぐらいの超大作じゃないですか。219分もあるのに観ていて全然疲れなかった、いや、違う、ものすごく豊かでした。映画そのものが豊か。それがうれしかったです。スゴいとしか言いようがない。そしてクリストファー・ウォーケンがかっこいい。

 ウォーケンさんつながりでいうと、『ミッドナイト・ガイズ』【2】はスゴかったです。アル・パチーノ、クリストファー・ウォーケン、アラン・アーキン、この3人が揃うなんてすごすぎます。だってもう、皆さん70歳を越えてるんですよ。その年齢だとしても、アラン・アーキンには女子として「抱かれたい」と思ってしまうほど色っぽい。お三方とも全然かっこよさが違っていて……なんというか超憧れます。

 自分が出演した作品で壮絶だったのは、『愛のむきだし』(09年)と『かぞくのくに』(12年)です。現場の話ですけど、園子温監督の『愛のむきだし』は、撮影の間ずっとエネルギーがぶつかり合ってそこら中で爆発しているような感じ。反対にヤン・ヨンヒ監督の『かぞくのくに』は、北朝鮮と日本の話というのもあって、現場は“静かなる戦争”っていう感じでした。両方とも常に気を失いそうになるのをグッとこらえていました。

 あと、あまり自分の出演作品として挙げられる機会は少ないんですけど、自分の中ですごく重要な作品になっているのが、タナダユキ監督の『俺たちに明日はないッス』(08年)。デビュー作ではないけれど、この作品から始まった、というか。当時は『愛のむきだし』の撮影とも時期が重なっていて、体力的にはしんどかったんですけど、タナダ監督とはそれほど密な交流を持ったわけではないのに、すごく楽しかった。タナダ監督に恋をしていたんだと思います。あの時の自分が好きとかいうことではなく、常にああいう気持ちでいられたらいいなって思う作品です。

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