特定秘密保護法の裏にある情報管理の"本当の"ヤバさ

法と犯罪と司法から、我が国のウラ側が見えてくる!! 治安悪化の嘘を喝破する希代の法社会学者が語る、警察・検察行政のウラにひそむ真の“意図”──。

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「特定秘密保護法成立へ」
2013年10月25日、安倍内閣が、機密情報を漏らした公務員らへの罰則を強化する特定秘密保護法案を臨時国会に提出。自民・公明両党、および修正合意したみんなの党などの賛成多数で衆院を通過、今国会での成立が確実となった。これに対し各界から、「政府の不正や過失が隠蔽されかねない」「国民の知る権利が失われる」などの批判が上がっている。

『秘密保護法は何をねらうか』(高文研)

 2013年秋の臨時国会での成立が確実視される特定秘密保護法。安全保障上、特に秘匿を要する情報(防衛・外交・スパイ活動防止・テロ防止)を、大臣などの行政機関の長が「特定秘密」に指定し、秘密を漏洩した公務員らに最高10年の懲役刑を科すと規定したこの法律に対し、各方面から問題を指摘する声が噴出しています。

 それらを整理すると、問題として主に挙げられているのは以下の点。すなわち、【1】特定秘密の対象となるものの範囲が広すぎ、かつ曖昧であること、【2】秘密指定の妥当性を評価する第三者機関に行政のトップである首相が関与するため、機関の独立性が担保されないこと、【3】秘密の指定期間を最長60年としながらも、進行中の外交交渉等に不利益を及ぼす情報や防衛情報などの例外が設けられ、しかも国民が指定の解除を求めようにもその手続きについての規定がないこと、【4】特定秘密を漏らす行為のみならず、知ろうとする行為も処罰の対象となるため、取材・報道の自由が阻害され、国民の知る権利が失われかねないことなどです。

 確かに、それらはどれも非常に重大な問題点だと思います。いや、もっとはっきりと、この法律は欠陥だらけだといっていい。例えば、秘密の指定期間の問題。欧米諸国では、秘密指定された情報でも、20~30年後には指定を解除され、原則としてすべて開示されます。国政において何が行われたのかを後日検証できるようにし、政府の不正隠しなどを抑制するためです。特定秘密保護法は、そんな"世界の常識"とさえいえるごく基本的な点すらないがしろにされている。国家機密は厳然として存在し、その漏洩は防がなければならない、という政府の主張は正論だとしても、これではまるで話になりません。

 ただ、今回私が述べようと思うのは、実はそのように巷で議論を呼んでいる問題点についてではありません。思うに特定秘密保護法は、その内容における種々の欠陥をはるかに上回るほど重大で、かつ根本的な日本特有の問題を抱えている。それは、やや婉曲に表現すると、「国家の秘密を守れというけれど、果たしてその秘密のヴェールの向こう側に何があるのか」ということ。それが今回のテーマです。

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