──「賛美歌なんぞに負けちゃいねえぜ! お坊さんが歌う"仏教ソング"の歴史」で紹介した声明をはじめ、仏教はこんなにも音楽で満ちあふれているのでございます。合掌して聞くべし!
【1】1200年の伝統と格式!
真言声明&天台声明
公式には8世紀に中国から持ち込まれた仏教の聖歌で、日本で一般に「声明」といえば、「真言声明」と「天台声明」を指す。お経に「ユリ」「ソリ」「フリ」など独特の節をつけた合唱曲であり、「博士」と呼ばれる独自の楽譜も存在する。メロディーラインは能の謡曲や狂言を思わせるが、それもそのはず、実はそれらは声明が元になっているのだ。真言声明が男性的なのに対し、天台声明は女性的。曲数は200以上存在し、サンスクリット語のオリジナル声明から、日本で生まれた日本語声明まである。
【2】鎌倉以降の宗派にだってあるもん!
他宗派の声明
真言宗、天台宗以外の宗派も、独自に声明を持っている。浄土宗、浄土真宗、日蓮宗など鎌倉新仏教は基本的に天台系なので、天台声明の流れをくんでいるが、それぞれが独自に発展。しかし、1200年の歴史と伝統を持つ真言宗・天台宗からすると、各派の声明は亜流扱い? 最近では増上寺で浄土宗が盛んに声明ライブを行っているが、ある天台宗の僧侶いわく「唱える内容は同じでも、京都の声明とはまったくの別物。うなりを上げるように声を震わせるもんだから、正直うるさい(笑)」とか。