――1996年に公開され、話題となった映画『トレインスポッティング』。その原作者であるアーヴィン・ウェルシュが訴え続ける、スコットランドの本当の顔とは?
(写真/三浦太輔 go relax E more)
世界のユースカルチャーに絶大な影響を与えた映画『トレインスポッティング』の原作者、アーヴィン・ウェルシュが、原作映画最新作『フィルス』の公開を記念して初来日した。『トレインスポッティング』は、自身の自伝的小説とも言われ続けてきたが、その真相はいかなるものか。
「あれはフィクションだよ。若い頃のヘロイン体験が、自分にとってどんな意味があったのかを知りたくて書いたんだ。登場人物は自分自身ではなく、あの時代に会った人をモチーフにして作り上げたキャラクター。自伝として書いてしまうと、自己を正当化したり、正直になれなかったりするだろう? フィクションとして客観的に書くことによって、ジャーナリスティックに、より深く、時代のエモーションに近づけたと思う」
そんな若者ならではの熱狂的な青春物語から一転、『フィルス』では、裏工作、不正申告、売春、コカイン、なんでもありの主人公、悪徳刑事ブルース・ロバートソンが卑劣の限りを尽くす。舞台は閉鎖的で階級的、人種差別と女性蔑視がいまだはびこる保守的なスコットランドの警察だ。