【篠原有司男】貧しても鈍さず──60年代アートシーンの旗手は、ニューヨークで今も走り続ける

――日本で初めてモヒカンにした男・篠原有司男とその妻のドキュメンタリーが公開される。スクリーンに映った81歳の自身の姿は、彼にはどう見えたのだろうか――。

(写真/永峰拓也)

 1960年代のアートシーンを席巻した前衛芸術集団ネオダダイムズ・オルガナイザーズ。養老天命反転地の荒川修作や千円札裁判で名を馳せた赤瀬川原平なども参加した革新的な芸術グループだ。そんなネオダダの旗手としてひときわ輝きを放っていたギュウチャンこと篠原有司男。彼と妻・乃り子のニューヨークでの生活を追った『キューティー&ボクサー』が、この冬、日本公開を迎える。老いてなお銀髪モヒカン──81歳という年齢を感じさせない生粋のアーティストは、フィルムに刻まれた自身の姿に何を感じたのだろう?

「最初に観たときは、俺のアートのことを何もわかってねーなって感じたね。俺が調子のいいことを言って、それを乃り子がやっつけるって映画じゃない。こんな甘ったるいラブロマンス面白いの?って(笑)。ところが(米国で)公開されたら大ヒットだもんね。驚いちゃったよ。街を歩いていても『映画観ました』なんて言われちゃって。(サンダンス)映画祭でかけられたときなんてすごかったよ。2000人の観客がスタンディングオベーション。松井(秀喜)のホームランみたいだったよ」

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