猪瀬辞任で幕を引く 特捜部VS赤レンガ派と徳洲会疑獄の落とし所

永田町の注目を集める猪瀬の去就

徳洲会グループによる5000万円の裏金疑惑が発覚した猪瀬直樹東京都知事の去就は、東京地検特捜部の今後の捜査にかかっているといえるだろう。だが、2010年に発覚した大阪地検の証拠改ざん事件の教訓から、強引な捜査を敬遠する検察庁のエリート派閥赤レンガ派がさらなる追及に及び腰だというが……。

『猪瀬辞任』
一連の徳洲会事件において、5000万円もの裏金疑惑が発覚した猪瀬直樹東京都知事。借用書を公開し、お金は個人的に借り受けたという釈明会見を行うも、知事辞任という声が多い。

 民間最大手の病院グループ「徳洲会」の激震が止まらない。2013年1月、不正経理の疑いで徳洲会の事務総長を解任された“徳田虎雄【1】の金庫番”こと能宗克行が12年12月の衆院選で、報酬と引き換えに病院職員を選挙運動に従事させた虎雄氏の次男・徳田毅陣営(鹿児島2区)の公職選挙法違反を内部告発。東京地検特捜部は強制捜査に着手し、この10月、毅氏の姉でグループ会社役員の越沢徳美容疑者とスターン美千代容疑者らを逮捕(運動員買収)した(12月3日起訴。地元政界関係者らへの買収容疑で再逮捕)。

12年に発売された猪瀬の書籍タイトルは『決断する力』(PHP研究所)。今、まさに決断する時期ではないだろうか?

「姉である越沢のパソコンには、昨年の衆院選で現金を配った地元県議ら10人以上の一覧表が保存されており、県議がその現金を有権者らに何らかの形で配っていたのであれば、公選法違反(供与)容疑に当たる可能性が出ています。起訴した特捜部は東京地裁に審理を迅速に進める『百日裁判』を要請、越沢らの有罪が確定した場合、連座制が適用され、毅氏の当選は無効になります」(週刊誌記者)

 さらに、11月22日付の朝日新聞が「徳洲会、猪瀬氏側に5000万円都知事選前 強制捜査後に返却」と、徳洲会が猪瀬直樹都知事に5000万円渡したことをスクープ、事件は新たな局面を迎えた。

「猪瀬の疑惑は以前から、現場記者の間で囁かれていました。都道府県知事は病院などの開設許可や、医療関連補助金の支出などで絶大な権限を握っており、猪瀬側は『(便宜を図ったということや選挙活動とは関係のない)個人的な借り入れ』という釈明で逃げ切ろうとしている。徳洲会は千葉県、神奈川県とも関係を密にしており、森田健作千葉県知事、黒岩祐治神奈川県知事の周辺を探るマスコミも出てきています」(同)

 東京地検特捜部が動き出し、これまで噂されていた徳洲会と政界との闇にメスを入れ始めた格好だ。それ以上に政治家にとって戦々恐々なのは、告発文(能宗メモ)を書いた能宗も、徳洲会側からの刑事告発で、警視庁捜査2課により12月3日、業務上横領の疑いで逮捕されたことだ。

「警視庁捜査2課は、特捜部と連携して捜査を進めています。徳洲会事件のような疑獄に発展した際、特捜部がどこまで政界に斬り込むかは、取り調べ、裁判の過程で当事者が何を告発するか、ということにかかっています。朝日はさらに政治資金収支報告書をもとに、97国会議員(このうち自民議員が93人)に徳洲会マネーが献金・融資されていたことをスクープ(11月30日付)し、徳洲会マネーが広範囲に渡っていることが明らかになりました。また、能宗メモにも書かれているように、徳洲会の虎雄氏は亀井静香、石原慎太郎との関係が深いですから、彼らも気が気でないはずですが……」(同)

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