――こちらの記事では美容整形の歴史を見ながらその倫理観を検証してきたが、人種差別との関わりも深いようだ。その構造を川添氏の解説により浮き彫りにしてみたい。
『ビューティ・ジャンキー-美と若さを求めて暴走する整形中毒者たち』(バジリコ)
実は美容整形と深い関係を持っているのが人種問題だというのは、ご存じだろうか? 人種差別との関わりを示す例は、現代に近い形の美容整形が始まった19世紀後半に、すでに見ることができる。
「『ユダヤ人』の身体的な特徴とされるカギ鼻を治すために、鼻の整形手術を決断した人が当時からいました。19世紀は人種差別が激化した時期で、身体的特徴で『人種』を分類する試みが盛んに行われていました。近年は『人種』という概念自体の生物学的な根拠が否定されていますが、外見的な特徴による人間の分類、それをもとにした『人種差別』は根強く続いています」(松蔭大学の川添裕子教授)
映画『ファニー・ガール』のモデルにもなったユダヤ人女優にも、次のような整形エピソードが残されている。