――エロ、バトル、SF、ファンタジー…… あらゆる要素が凝縮され、エロ劇画のタブーを破った『人妻人形・アイ』(茜新社)を生み出した三条友美氏。エロ劇画家としてますます血気盛んな三条氏の発想の原点やエロ劇画界の現状について、大いに語ってもらった。
『人妻人形・アイ』(茜新社)
三条友美の『人妻人形・アイ』(以下、『アイ』)。物語の舞台は20××年、東アジアの連合国家NEGAによって半植民地化された日本。女たちが総ビッチ化したスラムで、謎の娼婦連続猟奇殺人事件が発生する。事件を追う元刑事・秋庭大介の婚約者である主人公アイ(処女)は、NEGAの大ボスにして処女中毒のドスケベじじい通称「ドン」により囚われの身に。大介は女子高生組長・詩音と共にアイ救出に動くが、ドンの右腕、隻眼のメイ・リンにより次々と女刺客が送り込まれ…… というエロ劇画史上類を見ないストーリー展開や、作中にふんだんに盛り込まれた、映画『ブレードランナー』をはじめとするさまざまなパロディなどでカルト的な人気を博したが、掲載誌の休刊に伴い、休載を余儀なくされた。しかし、その続編『人妻人形・アイⅡ』(以下、『アイⅡ』)が、この7月より姉妹誌「完熟ものがたり」(茜新社)で連載が再開された。
──まずは、連載再開おめでとうございます。
三条友美(以下、三条) ありがとうございます。実のところ、私も半ばあきらめていたところがあったんですが、連載再開を希望する読者ハガキも相当な数が届いたらしく、担当編集さんの熱意もあって続編を描かせてもらえることになりました。
──『アイ』に登場するキャラクターはみな個性的で、裏設定も凝っていますね。
三条 みんなとっとと死んじゃうんですけど、使い捨てキャラにはしたくなかったんです。頭にあったのは『ウルトラマン』や『仮面ライダー』に出てくる怪獣や怪人たち。彼らは1話限りで消えてしまうのに、強烈なインパクトがありました。月刊で続きモノをやるにはどうしたらいいかと考えたとき、そういう特徴のあるキャラを、あまり引き延ばさずに、派手に登場させて潔く散らせるのがいいのかなと。
──殺すには惜しいキャラが何人もいました。
三条 つい最近、『アイ』の登場キャラクターたちが一覧できる、「人妻人形・アイ キャラクター公式カタログ」というサイトができたんですよ。ツイッターで、ホームページ作成をお願いできる方を募集したところ、関西在住の女性ファンの方が作成してくれました。まったくの無償で、しかも疲労で倒れながらも作っていただきました。その熱意には涙が出るほど感謝しています。
──『アイ』は、エロ劇画誌掲載作品とは思えないSFバトルマンガですが、創作の動機は?