人類のナゾは音楽で見えてくる! ブラックミュージック専門サイト「bmr」編集長・丸屋九兵衛が”地・血・痴”でこの世を解きほぐす。
『The Electric Lady』/ジャネール・モネイ(発売元:ワーナーミュージック・ジャパン)
ほぼ全曲で自作&自己プロデュース。今どき珍しいファンク調ほか70年代モードの曲が多く、その意味でも先達たちとの連続性を感じさせる。そしてなんと、自分の弟子以外とは絡まないはずのプリンス殿下が参加! ジャネール・モネイがすでに一目置かれる存在となっていることがわかる。エリカ・バドゥ、ソランジュ、ミゲルらが参加。
00年代後半。ビヨンセやらリアーナやら、黒人女性アーティストたちがこぞってリーゼントにした時期があった。もちろん、その流行はさほど続かず、リアーナは赤毛(ほか)になり、ビヨンセは脱色ブロンドざんばら髪(?)へと戻ったわけだ。
しかし、オリジネイターはブレなかった。
彼女の名はジャネール・モネイ、1985年生まれのシンガー/ソングライター/プロデューサー。モデルとしてのキャリアもある美女だが、アーティスト活動時はとにかくリーゼントヘア、そしてタキシード着用。ファッションが時流に左右されないだけでも特異だが、ブレないのは外見だけではない。「次作はコンセプト・アルバム!」と宣言したものの、先行シングル曲の不評を受けてなし崩し的に普通のアルバムとなってしまうことが多いR&B/ヒップホップ界において、彼女は一貫してコンセプト主義者なのだ。それも、07年のデビュー作から、この9月にリリースされた最新作まで、常に同一趣向の。
そのコンセプトとは「アフロフューチャリズム」。今月は、この才女とその思想について書こう。