『同和利権の真相 2』(宝島社)
■そもそもどう違う?
【1】「えた・ひにん」とは?
一括して語られることの多い「えた」と「ひにん」だが、いうまでもなく異なる被差別民に与えられた呼称だ。そのとらえ方は時代や地域によって大きく異なり、またそれぞれの由来についても諸説ある。
江戸期における「えた」は、死牛馬処理業や皮革業、履物業、祭礼などにおける清め役、各種芸能などを身分固有の職業として独占する一方で、行刑役・警察役・掃除役などの役負担を課せられていた。今日の部落差別に直接的につながる存在である。
それに対して江戸期の「ひにん」は、勧進(物貰い)を生業とした。主な課役は警察役で、番非人・非人番として地域社会の警察的な役割を担っていた。そのため、近代警察制度の成立過程で失職し、一部を除いては一気に解体が進み、可視化されない存在となっていった。