――現在、日本で暮らす在日コリアンは、約53万人と言われている。彼らの中でも2世、3世、4世と新世代が増える中で、受けてきた差別に対する考え方や、生活などにジェネレーションギャップがあるようだ。ここでは、朝鮮教育や反日感情、在日特権などのテーマを横軸にし、世代ごとにアンケートを実施し、その違いを見比べてみた。
日本人における差別
【事 象】 在日コリアンへの差別は、日本社会が抱えてきた民族問題のひとつ。日本が朝鮮半島を占領していた第2次世界大戦期や、東西の対立が深まった冷戦期にかけて、在日コリアンは、民族主義者、反植民地主義者、共産主義者などの“危険分子”として特別高等警察などから監視、抑圧される対象のうちに入っていたという記録が数多く存在している。一方で現在、グローバル化へのアレルギー反応として、世界各国ではナショナリズムや原理主義が台頭。日本でも在日コリアンに対する新しい差別が生まれつつある。
【70~80代(第一世代)】
「“第三国人”と呼ばれ、存在すら認められず」
●形態こそ変わったが、朝鮮人に対する差別は今も昔もなんら変わっていないと感じる。朝鮮学校への差別は特に顕著だ。昔は「学校閉鎖令」があったし、今も「高校無償化問題」などがある。(80代男性)
●父は地域の消防団の役員にもなっていて、日本人の信頼もあった。差別も経験したが、助けてくれる日本人もいた。(70代女性)
【40~60代(第二世代)】
「理不尽な暴力で死者も出た」
●若い頃、日本語がうまくできない親を日本の友人に見られるのが恥ずかしかった。後になって、そんな気持ちを抱いたことをとても後悔した。(60代女性)
●朝鮮学校に通っていた頃、右翼学生に襲撃されて死んだ知人がいる。学生ながら自警団を作った記憶がある。(60代男性)
●自分たちは差別されているという意識が強く、日本人は憎んでもよいと思っていた。先輩が日本人の学生とケンカするのが誇らしかった。(50代男性)
【20~30代(第三世代)】
「新たな差別の芽吹きを感じる昨今」
●インターネットの書き込みなんかは、無視したくても無視できない。最近は、自分たちの存在についてしっかり学ばなければならないと思い始めた。(20代男性)
●在日コリアンであることを隠していた時は周囲の目が気になったが、カミングアウトして堂々とし始めてからは気にならなくなった。(30代男性)
●僕は在日コリアンだが、中年男性に「くそ中国人」と罵られたことがあった。中国人に対して失礼なやつだと思った。(30代男性)