──年内幕内デビューが有力視される、大砂嵐金太郎関。角界のホープとしての険しいまなざしと、弱冠21歳の等身大な素顔を見た。
(写真/下屋敷和文)
「ヤバイデース……」
十両で2場所連続10勝5敗の2ケタ勝利。11月の九州場所では、幕内入りが確実だ。そこで意気込みを聞くと子どものような笑みを浮かべて冒頭のひと言。
大砂嵐金太郎。189センチ、145キロの巨漢はさすがの関取たる風格だ。初のイスラム教徒大相撲力士として、エジプトから来日して約2年。今はどんな気持ちで稽古に励んでいるのだろうか?
「責任イッパイね(苦笑)。最近は外出すれば声をかけられるし、エジプトに帰国すればニュースになる。有名になったことでどこにも逃げ場がないプレッシャーを感じます。でも、もともと“To be or Not to be”という覚悟で来ているから、横綱めざして全力で頑張るだけ」
日本語に詰まると細かいニュアンスは流ちょうな英語で伝えてくれる。シェークスピア『ハムレット』の名台詞を挟んでくるあたり、なかなかの知性派だ。「やるか、やらずに死ぬか」という覚悟には恐れ入る。