軍艦島か教会群か!?長崎世界遺産利権の政治的代理戦争とは?

富士山の世界遺産登録で、大注目!

毎年、6月ごろになると世界文化遺産が決まる。今年は、これまでゴミ問題などから揉めに揉めていた富士山が、関連する文化財群とともに「富士山 信仰の対象と芸術の源泉」という名で登録され、大きく話題になった。現在、日本には、20の都道府県に世界遺産があり、富士山は13件目となる。

最盛期には、5300人あまりの人口を擁していた軍艦島。(写真/酒井透)
『軍艦島』
南北に細長くなっており、島全体が護岸堤防で覆われていて、戦艦・土佐にその姿が似ていることから、このように呼ばれるようになった。正式名称は端島。

 2015年の世界文化遺産登録を目指し、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」(長崎県、熊本県)と、「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」(長崎市や北九州市など)で、バトル【1】が繰り広げられている。

 8月24日付の毎日新聞などがすでに報じている通り、前者は、文化庁の文化審議会がその推薦候補に選出し、後者は、内閣官房を中心とする有識者会議が候補としている。毎年、各国から国連教育科学文化機関(ユネスコ)に推薦することのできるのは各国1件で、2つの候補が競合するのは、今回が初めて。しかも「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」には、八幡製鉄所や三池港など稼働中の資産に加え、いわゆる軍艦島が含まれており、この『長崎対決』は、廃墟や建築マニアからも熱い視線が注がれているのだ。

 世界遺産に登録されれば、経済波及効果は計り知れないが、一方で、世界文化遺産登録への道のりは、そう簡単なものではない。

「富士山は、90年代から登録への運動が始まったが、20年近くも国や地方自治体が地道な活動を続けた結果、今年、ついに登録となった。ただし、まず推薦リストに入るのに年月がかかっており、07年に国の推薦リスト入りしてからも6年を要すなど、何度もリベンジをしてやっと登録を勝ち取った。近年は、ユネスコの審査もより厳しくなっているようだ」(軍艦島に詳しいジャーナリスト)

 そんななかで、15年の世界文化遺産登録入りを目指しているのが、前述の「教会群」と「軍艦島」なのだ。「教会群」は、12年に一度、落選しており、リベンジとなる。

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