自由民主党、創価学会、日教組まで! 現代思想で読み解く5大組織歌の中身

──誰しもが歌ったであろう「校歌」。そんな「校歌」をはじめとした、"組織の歌"(ここでは「組織歌」とする)には、我々の団結心を強固にする"思想"がちりばめられているはずだ。当企画では、日本の未来を担うべく"政治的"活動をする団体の組織歌をピックアップ。その歌詞から、それぞれの団体が根本に持つ思想を読み解いていこう。

『自由への讃歌《ラ・マルセイエーズ》』

 校歌や社歌をはじめ、誰しも一度は歌ったことがあるであろう“組織歌”。それらは、「未来」「栄光」「若人」など、夢と希望に満ち満ちたスバラシイ言霊のオンパレードで、時に所属する組織の風土や特徴を伝え、時に労働意欲の向上、目的意識の共有を手助けしてきた。となれば当然、それぞれの組織の目的によって、その様相は変わってくる。そこで今回、政党、宗教、右翼、左翼といった、政治的活動を行う5つの組織の組織歌に注目し、その歌詞から、日本の未来を担うべく活動する彼らがどんな理念・思想を共有しているのか、その歌詞を現代解釈の視点から分析してみたい。

 そもそも、組織歌が持つ一番の役割とはなんなのか? 慶應義塾大学法学部教授で、政治哲学・現代政治理論を専門とする萩原能久氏に、その存在の意味を聞いた。

「組織歌の意義とは、校歌から推測するに、みんなで歌って連帯意識を高めることにあります。ただ、今回取り上げた5つの組織歌については、勇気を与えたり、生きることを肯定するような歌詞が中心の校歌などとは違い、暗い側面に特化している印象です。例えば、フランス国歌の『ラ・マルセイエーズ』や革命歌として知られる『インターナショナル』を極端にしたようなイメージです」(萩原氏)

 ご存じの方も多いかもしれないが、「ラ・マルセイエーズ」は、フランス革命の際に、マルセイユの義勇軍たちが士気を高めるべく歌っていたものだった。フランス革命とは、 ブルボン王朝による絶対主義的国家体制を解体すべく、生活に苦しむ市民たちが命をかけて戦った市民革命。その歌詞は「血塗られた軍旗は掲げられた!」「武器を取れ、市民諸君!」といった過激な内容になっている。また、社会主義者団体のテーマソングとしても知られる「インターナショナル」も、日本語詞には「たて飢えたるものよ」「呪われしもの」「旗は血にもえて」と、不平等を嘆き、社会主義を目指して戦う当時の決意であふれている。そして今回、小誌が選んだ組織歌も然り。さぞ希望に満ちあふれた明るい歌詞を並べて、「団結力を高め、すばらしい未来を掴もう!」と啓発しているのかと思いきや、その歴史的背景からか、「ラ・マルセイエーズ」「インターナショナル」同様、自分たちが経験してきた「戦い」「屈辱」「強制」といった、今聞けば暗い言葉ばかりが用いられている。

「共通の敵を作ることで、内的連帯感を高めようとしているのかもしれませんね。一般に、『自分たちの集団の外側や、組織のトップ、嫌味なエリートたちが敵である』『自分たちこそが世界を救う=聖戦』という考え方で扇動し、ネガティブな思いを持たせたほうが、意識を共有しやすいのだと思います」(萩原氏)

 では萩原氏は、各組織歌のどういったフレーズに、ネガティブな感情を見出したのだろうか。詳しく歌詞を追っていこう。

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