【山本譲二】が語るタブーな演歌!『“パンティー頬ずりしてる”吉幾三が貫いた東北訛り』

──「音楽」とひとえに言っても、日本の心を歌う演歌から、ゴールデンボンバーの出現で再び注目されるヴィジュアル系、松田聖子からAKB48まで、いつの時代にもファンが絶えないアイドルソングと、そのジャンルはさまざま。ここでは、そんな各ジャンルの識者たちに、タブー破りの楽曲をセレクトしてもらった。

(写真/磯部昭子 A/M)

山本譲二
1950年、山口県生まれ。北島三郎の付き人を務めながら、厳しい下積み時代を過ごし、鳴かず飛ばずの歌手生活を送る。80年に「みちのくりひとり旅」が大ヒット。「1日1万枚」という、演歌としては快挙と言えるヒットを飛ばす。現在、テイチクレコードより「蓬莱橋」が発売中。

──演歌界の巨匠・北島三郎を“親父”と慕い、『みちのくひとり旅』などの代表曲で知られる山本譲二氏に、演歌界のタブーを破った曲を選出していただいた。

 “タブー破りの演歌”と聞いて、まず思い浮かぶのは吉幾三の曲ですね。「俺ら東京さ行ぐだ」とか「俺はぜったい!プレスリー」とか、吉の出身地・青森の訛りが歌詞に生かされていて、初めて聞いた時は衝撃的でした。それまでにも、歌詞にお国訛りを生かした曲はありましたけど、あそこまで全面に押し出したのは吉が初めてじゃないかと。僕ら演歌歌手が歌う曲というのは、大抵ディレクターさんが選定するものなんですが、吉の場合は自ら作詞作曲もしているので、ああいう曲が歌えるんでしょう。「と・も・子…」って曲もすごいですよ。「とも子のはいてたパンティーいつも頬ずりしてるの たまにかぶって歩いたりしてるの」とか、俺は絶対歌えない(笑)。あの型破りな面白さは、アイツだから成立するんだと思います。

 あと、親父(師匠の北島三郎)の代表曲のひとつ「与作」も、タブー破りっちゃあタブー破りですよね。発売当時、親父が「与作は木をきる~ヘイヘイホ~♪」と歌っているのを聞く度に、正直「親父、いくらなんでもこれは……」と思ってました。だって、どのターゲットに向けた曲なのか、よくわからないじゃないですか。「与作は木を切る……で?」みたいな(笑)。演歌は普通、夫婦や兄弟、親など、聞く人にとってごく身近なものをテーマにするんです。でも、今では芸人さんが親父のモノマネをする時の定番曲になっているくらい、大ヒットさせましたからね。さすが親父だなと思いましたよ。

今すぐ会員登録はこちらから

人気記事ランキング

2024.11.22 UP DATE

無料記事

もっと読む