「これからは四次元の時代」有名デザイナーの”お言葉”翻訳

――ファッション誌に載せられた著名デザイナーたちのインタビューを読んでいると時々、「この人は何を言っているのか?」と思うことがある。感性の世界で生きる彼らの言葉は、時として”下々の者”には難解すぎる。そんな彼らの素敵なお言葉を、モードファッションなど興味がない人にもわかるように勝手に翻訳してみた。彼らが我々に伝えたかったのは、いったいなんだったのか──?

(絵/handpoint.)

「その何も意図しない、何にもこびていないクールな感じがパンクだなって。そして、その意図していないのにクールな感じこそが、本当にかっこいいんじゃないかって気づいたんです。」
『ハイ・ファッション デザイナーインタビュー。』(文化出版局/12年刊行)

黒田雄一/ラッドミュージシャン
1964年生まれ。エスモードジャポン卒業後、ニューヨーク修行を経て自身の会社を設立。ラッドミュージシャンを95年に立ち上げ、ミュージシャンや音楽好き少年たちに絶大な人気を博す。ロックやパンクの精神を標榜し、ショーでもモデルにギターケースを背負わせたりする。フェンダー等、ギターメーカーとのコラボTシャツが有名。

【ワンポイント解説】
“無我のクール”が難しいからオシャレするんでしょうが(怒)
一見、スイーツ女子がお婆ちゃんをつかまえて「カ~ワ~イーイー」と持ち上げる残酷さに似た黒田流「無我のパンク」「無我のクール」論。つまりファッションセンスとは努力しても得られないものであると、もはやオシャレマインド全否定に聞こえますが、事実「『茶の本』(岡倉天心)を理解すればするほど、余計なことをしなければいいんだ。突き詰めていくとデザインそのものがいらなくなってしまうんじゃないか」(同インタビュー)と、身も蓋もないことを申されております。

(絵/handpoint.)

「二次元が絵画で、三次元が建築や服、靴だとしたら、四次元は目に見えない人の”気持ち”だとか”時間”だと思うんです。僕の靴をはくことによって、うれしいとか楽しいとか、そういう気持ちが伝わってくれればいいなと思う」
「Checkmate」(講談社) 1998年9月号

三原康裕/MIHARAYASUHIRO
1972年生まれ。多摩美術大学在学中から独学で靴を作り始め、ブランドを立ち上げる。自身の名を冠したMIHARAYASUHIROは97年に靴ブランドとしてスタートし、99年からウェアにも進出した。「あぶり出し靴」と呼ばれる、特殊な加工を施した革靴が定番。ちなみに、妻はジャズピアニストの上原ひろみ。

【ワンポイント解説】
「四次元は“時間”とか」って、それ普通のこと言ってますよ
同時期に「ハーパースバザー」に掲載された対談でも、「ピカソの時代が二次元で、モードの時代が三次元、とすれば21世紀は四次元」と謎の発言を残している三原氏。その心は「いろんな時代のモチーフをミックスさせてオリジナルを作るんだから、ある意味四次元じゃね?」ということでしょうか。上の発言を買いかぶると「ぼくの洋服はハイコンテクスト」とも捉えることが可能ですが……きっとそうじゃないと思いますです。

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