「Google glass」で再過熱するウェアラブル 普及のための最大の課題は"格好悪い"こと!?

もはやどんな事物もテクノロジーと無関係には存在できないこのご時世。政治経済、芸能、報道、メディア、アイドル、文壇、論壇などなど、各種業界だってむろん無縁ではいられない──ということで、毎月多彩すぎる賢者たちが、あの業界とテクノロジーの交錯地点をルック!

[今月の業界と担当者]
ウェアラブル業界/森山和道(サイエンス・ライター)

Googleが発表したGoogle glassは、開発者向けに販売されて以降、多くのメディアで賛否両論を巻き起こしている。カメラを標準装備しているため、プライバシーの侵害を懸念する向きも多い。

 今月の「ファッション特集」では触れられなかったが、現在、ITをファッションに取り込もうとする動きが散見される。今年5月、Googleが一部開発者向けとして、新しいウェアラブル・デバイス「Google glass」を販売し、大きな話題となった。果たしてウェアラブル・デバイスは今後人々の生活に浸透していくことになるのだろうか? 気鋭のサイエンス・ライターが、その未来を考える。

 最近また「ウェアラブル・デバイス」という言葉が流行し始めている。ファッションあるいはアクセサリーのように、身につけるデバイスだ。

 アイデア自体は1980年代からあり、10年ほど前にも言葉自体は流行った。だが市場は拓けなかった。しかし、Woodman Labsの「GoPro」に代表されるアクションカメラが業務用として活用されたり、アウトドアスポーツを楽しむ様子が撮影された動画が動画共有サイトに出回ってから、リバイバルし始めた。

 動画共有を通じて人々は気づいたのだ。自分が楽しんでいる様子を撮影し、多くの人と共有することは、とても楽しいことなのだと。

 楽しさだけがウェアラブルの用途ではない。Nikeのようなスポーツメーカーも運動量計測やカロリー推定用の小型デバイスを出している。睡眠・運動・食事などライフログを取るためのリストバンド「Jawbone UP」も人気がある。

 さらに最近はGoogleによる眼鏡型の透過型ヘッドマウントディスプレー(HMD)兼カメラ「Google glass」が一部開発者向けに配布され、アップルも腕時計のようなデバイスを発表するのではないかと言われている。市場化探索の新たなムーブメントが始まったことは間違いない。

 背景には、センサーや入出力インターフェースが軽量化・小型化され、身につけるための負荷がだいぶ下がったことがある。

 そしてデバイスを開発し、業界を牽引している企業は、ネットワークサービスがあまねく普及した今、さらなるサービスを考え出さないといけなくなっているのだろう。なんにせよ、多くのサービスをブラックホールのように吸収するスマートフォンとの連携は必須だ。

 IT最大のアプリケーションがコミュニケーションにあることは、もはや自明だ。誰もがあらゆる隙間時間にSNSを使っている。スマフォの操作性とコミュニケーションアプリの中毒性は恐ろしい。

 だが、現在のようにスマフォを下を向いて使い続けるのは、どう考えても最適解ではない。新たな解の模索のひとつとして、ウェアラブルのコンセプトである、常に身につける透過性の高いインターフェースの可能性を探るのは必然である。

 だが、GoProのようにスポーツを楽しむような「ハレの場」に身につけるデバイスならいざ知らず、Google glassのような常時着用型にはどんな利点があるのだろう。

 世の中には幸せそうな家族もいなければ素敵なペットも飼っておらず、旨そうなランチ写真を共有する友達もいない、そして拡張現実で初音ミクを見ることにも興味がない人間もいるのだ。そういう人はHMDで何を撮ったり見たりすればいいのだろうか。You Tube上には既に、そういう人はHMDにスクリーンセーバーでも表示することになるんじゃないの、と揶揄するパロディ動画まで作られている。

 また、今年5月、ニュースサイト「WIRED」は、glassのデザインは致命的に格好が悪い、よって普及しないだろうとする記事を載せた。

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