ネオヒルズ族は稼げてライターは稼げない 情報産業でメシを食うのに必要なこと

進化の歩みを止めないIT業界。日々新しい情報が世間を賑わしてはいても、そのニュースの裏にある真の状況まで見通すのは、なかなか難しいものである――。業界を知り尽くしたジャーナリストの目から、最先端IT事情を深読み・裏読み!

インプレス「できる」シリーズは今も続いている(画像は「できるポケット LINE」と「同 facebook」)。新しいサービスが世に広く出た時には、今でも需要があるようだ。

 ウェブメディアの定着と雑誌の低調によって原稿料が下げ止まらなくなり、いわゆる「フリーライター」が飯を食っていくことが難しくなった。しかしこれは、メディア構造の変化に伴い、できる人/できない人の淘汰が進んだだけなのかもしれない。自身もフリージャーナリストである佐々木氏が考える、これからのフリーランスに必要な条件とは?

 雑誌などのメディアに原稿を書いて収入を得る「フリーライター」と呼ばれる職業が、急速に終わりを迎えようとしている。インターネットの普及で情報の価値が落ちたことに加え、書くことが専業ではない人たちが安いギャラで原稿の仕事を請け負うようなことが増え、原稿料単価が驚くほど下がってしまったからだ。

 少し前に、グーグルの及川卓也氏の呼びかけで『セミプロに駆逐されるプロという構図勉強会』という変わった名称の勉強会があった。集まったのは主にIT分野で記事を書いている専業や副業ライターの人たち40人。雑誌時代には1ページで2~3万円ぐらいだった原稿料単価が、最近のウェブメディアではどれだけ長く書いても1本1~2万円程度で、生活できなくなるレベルにまで落ちていることなどが語られた。驚いたのは、音楽ライター業界に「アルプス」という用語があるという話。

「最近は音楽ライターが『アルプスでやってくれない?』とメディアから言われるらしいですよ。『アルプス一万尺、小槍の上で』という歌があるでしょう。……つまり1万円弱でどうか、という意味なんです」

 ……笑うに笑えない話である。

 私自身のことを振り返ってみても、この原稿料の低下は体感している。私は1999年に毎日新聞社から月刊アスキー編集部に移り、ライターの人たちとお付き合いするようになった。2002年頃からアスキーの仕事と並行してライター仕事もこなすようになり、03年にフリーとして独立して今に至っている。

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