――本特集でもこれまで取り上げてきたように、ネオヒルズ族たちの大半は、いわゆる情報商材ビジネスを手がけている。情報商材は、かねてよりその価値の曖昧さ、宣伝・広告と中身の違いなどが問題視されており、被害事例も後を絶たないが、ネオヒルズ族ブームによって、この状況に変化は起こっているのだろうか?
情報商材に関する相談件数
国民生活センターに寄せられた、専門モールを介した情報商材購入に関するトラブル相談数。一見減っているが……。
国民の消費生活にまつわる苦情や相談を受ける独立行政法人・国民生活センターでは、2010年に「『絶対儲かる』『返金保証で安心』とうたう情報商材に注意」と題した報告書を発表している。そこでは主に、情報商材を専門に扱うネット上のショッピングモール業者を介したトラブル相談が増えたことを受けて、その問題点をとりまとめているが、ネオヒルズ族のような、新たに大々的な宣伝を打つ業者の登場で、状況は変化しているのだろうか?
「『広告から受ける印象と実際の商材が大きく違う』『全額返金保証が謳われていたが、返金を求めても拒否された』というような基本的な問題点は大きく変わっていません。ただ、傾向として、近年はそうしたモール業者を介した購入事例が減ってきています(グラフ参照)。一方で、現場に寄せられる相談がすごく減ったかというとそんなことはなく、いわゆる販売者本人のホームページで売っているDVDなどの情報商材に関するトラブル相談はあります。この場合、電子マネーやクレジットカードという支払手段を備えることで決済会社という第三者が入るモールの場合とは違って、個人間取引になると振込み形式が増えるので、相手との交渉が一層難しくなってきます」(国民生活センター相談情報部・情報通信チーム、小林真寿美主査)