吉本興業vs週刊現代の第二幕
因縁浅からぬ「週刊現代」(講談社)と吉本興業。島田紳助と暴力団との関係を追及した同誌の記事をめぐっては、2012年10月、紳助が実質敗訴、同12月には、別件で講談社が敗訴する一審判決が出ているが、両者の争いはそれだけではない。中田カウスをめぐる問題でも激しい火花を散らしていた……。
『吉本興業の正体』(草思社)
今年4月に創立101周年を迎える“お笑い帝国”・吉本興業の行方を左右するといってもいい裁判が、東京地裁と大阪地裁で開かれた。いずれも、「週刊現代」を発行する講談社に対して、吉本や同社に所属する中田カウスが民事訴訟を起こしたもの。1年以上前に始まった公判は佳境を迎え、重要人物たちの尋問が法廷で繰り広げられたのだ。
まず1月22日に、吉本の大崎洋社長も出廷した尋問が東京地裁で行われた。対する「週刊現代」側は、元吉本社員で、同社創業家の林正樹氏や、吉本に所属していた元「コメディNo・1」の前田五郎らが出廷。
「吉本と講談社は複数の訴訟を抱えていますが、大崎社長と林氏。それに前田が法廷で直接対決したのは、今回が初めて。にもかかわらず、傍聴席にほとんどマスコミの姿がなかった。どこも、吉本との関係性を考慮したんでしょう」(講談社関係者)
そんな法廷で争われたのは、「週刊現代」が11年11月5日号で報じた「スクープ! 創業家の顧問弁護士が明かす 紳助だけじゃない! 吉本興業とヤクザ 弁護士でも恐くなる話」という記事の内容だ。主だった争点は、カウスが暴力団と密接な関係にあったという点や、敵対関係にあった創業家の林氏や同氏の代理人である的場悠紀弁護士を吉本が長期間尾行していたという点である。
『吉本暴裁判』
吉本興業や中田カウス、島田紳助らと、反社会的勢力との関係を執拗に追及してきた「週刊現代」。対する吉本興業は現在、カウスや紳助らと複数の訴訟を起こしている。
そもそも、こうした争いの発端となったのが07年に表面化した“お家騒動”だ。05年に林裕章元会長が亡くなると、吉本内における林家のポジションなどをめぐり、大崎社長を代表とする吉本経営陣と、林元会長の未亡人である林マサ氏やその息子の正樹氏が対立。ここに暴力団関係者も介入して、泥沼化した。この時、キーマンとなったのがカウス。「週刊現代」の記事で的場弁護士は「林裕章元会長の生前、林家とカウスの関係は良好でした。裕章さんは女性問題のトラブルを起こすとカウス氏にヤクザを使って解決してもらう。だから重宝がられたんです」と語っている。