──YouTube上の”YOUNG FOREVER”というPVで、芦田愛菜をディスりながらラップする小学6年生の男子。彼を支えるのは、兄の深い愛だった。
(写真/江森康之)
ヒップホップは永遠に続く夢だ。セクシーなギャル、新品のスニーカー、使っても使いきれないぐらいの金、金、金。YouTubeで観るアメリカ産ラップ・ミュージックのPVは、まるで少年の頃に思い描いていたパラダイスを具現化したようだ。そして、ぼんやり眺めているうちに、ふと虚しくなり、パソコンをスリープする。真っ暗な画面に自分の顔が映る。それに比べて、オレの生活はどうだ。
「大人になりたくないな/大人になりたくないな/ずっとこのままでいたいな」。12歳のラッパー、LIL KOHHが活躍するPV“YOUNG FOREVER”がネットで話題になっている。「子どものまんまでお金を稼ぐ/鈴木福みたいになれる/芦田愛菜より大島優子/言いたいこと何でも言うよ」。大人が夢を見られない国にあって、子どもにそれを託すということか。確かに、映像の中のLIL KOHHは大人顔負けのハスラー(金の亡者を意味する俗語)だ。美人秘書を引き連れ、高級車を乗り回す。しかし、その後、彼は至って庶民的な団地に帰っていく。廊下から眺めるのは墨田川沿いの寒々しい光景。そう、結局、ここでも現実を突きつけられる。