自民党圧勝を演出!? 新聞各社の世論調査と「週刊現代」が犯した罪

世論調査が持つ危うさと怪しさ

今回の総選挙では「自民党圧勝」「民主党大敗」を各社が予想。おおよそ、予想通りの結果となったが、こうした世論調査報道は「投票先をまだ決めていない有権者への行動に影響を与える」との指摘は以前からある。調査結果を見て、勝ち馬に乗ろうとしたり、しらけて投票を棄権したりする人もいるというが、果たして実態は……。

『週刊現代 2012年12月22日・29日合併号』(講談社)

 自民党の圧勝に終わった昨年暮れの衆院選挙。全議席(480人)の過半数をはるかに超える294もの議席を獲得した自民党の勝ちっぷりもさることながら、民主党が57議席へと激減。この両党の落差に、驚いた読者も多かったに違いない。

 勝敗の原因については、今回の選挙戦に関わったある選挙プランナーも語るような、次のような分析をよく耳にしたことだろう。

「小選挙区での自民党の獲得票数は、大敗した2009年の時と比べたって165万票以上も減っているんだから、自民党が信任されたなんていえない。なによりも、野田佳彦首相(当時)の自爆テロ解散による民主党自身の瓦解劇が主因。それに、59パーセント台という史上最低の投票率からもわかるように、乱立してまとまりも主張も欠く政党政治そのものを多くの有権者が否定したことが重大なんだ」

 こう喝破する選挙プランナーによると、そこまで政治をしらけさせた一因は、新聞・テレビの大手マスコミにあるという。

「悪名高き世論調査が、選挙の意義を希薄化させ、しかも、そのデータを週刊誌に横流しして、希薄化を拡大させるマネまで犯したんだ」

 順を追って、世論調査がもたらした”害悪”について見ていきたい。

『自民党圧勝』
12月16日に投票開票が行わた衆議院議員選挙では、自民党が改選前の119議席から294議席を確保するまでの大勝。民主党は230議席から57議席まで減らすという大敗を喫した。

 真っ先に問題として挙げられるのが、衆院選告示日の12月4日から5日にかけて行われた選挙情勢調査だった。この結果は、6日朝刊各紙に、こんな見出しで掲載された。

■朝日「自民、単独  過半数の勢い」「民主100議席割れか」
■読売「自民過半数超す勢い」「民主苦戦 維新、第3党うかがう」
■毎日「自民単独過半数の勢い」「民主激減70前後」

 中でも、全国の地方紙に配信する共同通信の選挙情勢記事に、政界は度肝を抜かれた。選挙データからストレートに「自公300うかがう」とトップの見出しをとり、続く見出しに「政権奪還の公算」とまるで自民党機関紙みたいに絶賛したのだ。民主党議員秘書が振り返る。

「共同の記事って、新聞掲載日前日の夜には新聞・テレビに流れるんだ。番記者たちを通じて記事の内容は即日届けられたんだが、『自公300議席』と聞いて正直参った。さぁ、これから選挙戦本番という序盤戦で、われわれ民主党陣営は腰砕けになってしまったんだよ」

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