人材コンサルタント・常見陽平が選ぶ「かっこいい人」の裏側がわかる最強鬼畜記事5選

――1999年の創刊以来、芸能界から政財界、ヤクザにIT業界まで、各業界のウラ側を見てきた「サイゾー」。巷間騒がれる小誌の魅力をもっと多くの人に知ってもらいたい! そんな思いから、「サイゾー」を愛読している物好きな(失敬!)有名人からおなじみの識者の方々に、「サイゾー」でしか読めないオススメ記事を選んでもらいました!! 今回のキュレーターは、気鋭の人材コンサルタントとしてメディアで活躍中の常見陽平さん。『リクルート特集』や2012年11月号『IT業界ゴシップ大全』【IT賢人が有名企業を辛口ジャッジ! 働きたくないのはココだ!】にもご出演いただいた常見さんが選ぶ、「かっこいい人」の裏側がわかる最強鬼畜記事って一体なんだ?


 実は僕、「噂の眞相」(噂の真相)を大学1年の頃から休刊するまで、ずっと愛読していたのですよ。スキャンダラス、センセーショナルな雑誌が大好きだったわけです。で、「噂眞(うわしん)」が休刊した時に、「これからは『サイゾー』だよ」って、言われたのを覚えていますね。主にネット版を中心に、読んでいます。いつも楽しみにしていますよ。
 
 僕がここ数年、主張し続けていることは「かっこいい人に騙されるな」ということ、そしてノンエリートの誇りを持てということです。2011年に『「キャリアアップ」のバカヤロー』(講談社+α新書)を発表した頃からその方針が明確になり、それが進化させた論を『僕たちはガンダムのジムである』(ヴィレッジブックス)『「意識高い系」という病』(ベスト新書)で展開しました。メディアなんかで凄い人、凄い会社が出ていると焦るワケですが、いや、どうせ虚像ですよ。盛りまくりですから。かっこいい世界の赤裸々な現実に気づくこと、今の自分の仕事に誇りを持つことって大事だなって思うわけです。

 その観点から選んでみました。かっこいい人幻想にぶつける最強鬼畜記事5選はこれだ! すごい人幻想よ、死 ぬ が 良 い。

『株式公開にメリットなし!? 時価総額1兆円以上のリクルート上場の”暗雲”と”胸算用” 』
(2012年12月号「リクルート上場の暗雲」より)

 一応、私も元リクなワケですが、学生さんや若い社会人に、「元リクルート」って言うと、眼のキラキラ感が異常なんですよ。「すごいっすね、人材輩出企業ですね!」みたいな。そのたびに違和感を覚えていました。いや、世間から見ると憧れなんでしょうけど、いろいろありますよ、いろいろね。この記事はリクルートの虚像をバッサバッサ斬っていて痛快でした。そう、リクルートの人が独立してもやっていけるのは、若い割には多い退職金と、持株の売却益、そしてリクルート人脈なのですねえ。

 そうそう、元リクの人って、会ったことがない人とか、在籍時に私を酷評していた人も、私がちょっと売れたら突然近づいてきて・・・。先日は「僕がキミのマネージャーをやってあげる」と言ってきた人がいて、「私、メリットないんですけど」と引いてしまいました。元リクは、信頼できる人しか付き合わないようにしています。皆さんも、付き合い方を気をつけましょう。

 私のインタビューも一緒に読んでくださいね。

『リクルート出身の人材コンサルタント・常見陽平が喝破「リクルートはもはや先進企業ではない」 』
(2012年12月号「リクルート上場の暗雲」より)


『読まずに済ませる自己啓発本のセカイ とがしやすたかと読む! 自己啓発本の名著・古典4冊 』
(2012年7月号「自己啓発ブームの裏」より)

 これ、超キモチイイです。私、とがしやすたかさんの大ファンで、『青春くん』も全巻持っていたのですよ。「ホットドッグ・プレス」に出ていた漫画とかも好きでした。

 漆原直行さんの『ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない』(マイナビ新書)で再確認したことなんですけど、自己啓発本ってタネ本が一緒なんですよねぇ。私も自己啓発難民だった時代があって、それこそビジネス書や自己啓発本を読み漁ったり、勉強会や異業種交流会に通ったり、セルフブランディングw に取り組んだりしたことがあったのですが、ほとんどムダでした。

 この特集を読んで、笑い飛ばしましょう。

『「ノマドの女王」安藤美冬×「百獣の王」武井壮 ノマドワーカー・サバイバル対談!』
(2012年11月号「IT業界ゴシップ大全」【「ノマドの女王」安藤美冬vs「百獣の王」武井壮 サバイバル対談】より)

 キタ━(゚∀゚)━! ノマドの女王と百獣の王だったら、そりゃ、百獣の王でしょう。私が苦手な安藤美冬氏がサイゾーに降臨です。彼女を使う時点で、もう読むのを辞めてやると思ったのですが、よく読むと、これは言葉責めプレイ的な記事じゃないですか。

 彼女、美人で感じがいいのでこういう企画に恵まれるわけですが、凄い人と対談する度にアラが目立つわけですね。5ヶ月無給の話で涙を誘おうとしているのですが、そんな苦労話なんてはいて捨てるほどありますよ。いや、対談相手がすごすぎるからですが。この点、師弟関係(らしい)勝間和代氏と同じものを感じるな、と。祭り上げられちゃったな、と。ただ、武井壮氏がガチで、マジで凄い人なので、そりゃあミッフィー、光を消されるよな、と。

 ちなみに、カフェでMacを開いて仕事をするのは間違ったノマド像と言ってますが、その誤解をつくったのはあなたを始めとする、ノマドのオピニオンリーダー層じゃないか、と。

 私、ノマド批判論者だと思われているのですが、私自身、ノマドワーカーだったりします。ノマドがダメなんじゃなくて、ノマドの女王を始めとするノマドのオピニオンリーダー層は罪深いなと思っています。1月26日発売の『自由な働き方をつくる 「食えるノマド」の仕事術』(日本実業出版社)では、地に足のついたノマド論を展開しています。ご期待ください。

『DJ NOBU──親のすねをかじらないタフネス! 千葉発のワーキング・クラス・ヒーロー』
(2011年1月号「ミュージシャンが音楽で食う方法」より)

 38歳にしてロック少年の僕にとっては、音楽記事はたまらないです。今も、デスメタルバンド「けだものがかり」のボーカル、そしてDJとして活動していますし。

 音楽という仕事に迫ったこの特集は素敵です。中でもこの記事が好きですねえ。そう、ミュージシャンとかDJで食べるってことは、一見すると自由そうで、並の努力ではないわけで。この1回、1回マジでやる姿勢には感動しました。

 赤裸々でいいと思います。

『V系のドンダイナマイト・トミーが吠えた!「今のV界の若いヤツらはコミュニケーション能力が低すぎ!!」 』
(2011年11月号「V系バンドブーム再燃の理由」より)

 同じく赤裸々でよかったのがこの記事。うん、文字通り吠えてますね。言いたい放題ですね。ダイナマイト・トミーさんはこの記事にもある通り、東のX、西のCOLORと言われていたわけで、自分が札幌で毎月、ロック雑誌を楽しみに読んでいた頃のヒーローだったのですよ。XはX JAPANになってから、一気にアーチストっぽくなったわけですが、インディーズの頃はハチャメチャなバンドでした。破天荒っていうか。それはCOLORも同様でした。あの頃の空気を感じられて楽しめました。

 いや、何より、バンドの裏側を覗けてよかったな、と。ミュージシャンっていうのもいろいろあるんです、いろいろね。でも、トミーさん、本当に若いミュージシャンが好きなんだなって感じました。はい。

 というわけで、今後も世の中に多様な視点を提供し続けて欲しいです。応援しています!
(文/常見陽平)

常見陽平(つねみ・ようへい)
1974年、北海道出身。人材コンサルタント、作家、大学講師。一橋大学を卒業後、97年にリクルートへ入社。2度の転職後フリーとなり、現職。代表的な著書に『「キャリアアップ」のバカヤロー』(講談社+α新書)、『僕たちはガンダムのジムである』(ヴィレッジブックス)『「意識高い系」という病』(ベスト新書)などがある。

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