接待攻勢、タレントからの枕営業はホント!? 電通と芸能界 その全"癒着構造"

――AKB48の隆盛以降、ネット界隈で盛んに囁かれるある言説──「どうせウラで仕掛けているのは電通でしょ?」この種の言説にはどこまで信憑性があるのか? そもそも、世界に冠たる超巨大広告代理店・電通と、”興行”的な古い因習も根強く残るニッポンのザ・芸能界の間には、どのような関係性が横たわっているのか? 実際の広告制作の過程から、AKB48の成功に電通がどのようにかかわったのかまで、電通と芸能界との間の、深くて暗い闇を追う !!

『電通 洗脳広告代理店』(サイゾー)

 AKB48、シングル・アルバムの総売り上げで女性グループとしては史上初の2000万枚突破!!」「CRぱちんこAKB48にからむ『重力シンパシー公演』で、9月より全12曲を毎週リリース!」

 なぜこの不況下で、AKB48は独り勝ちを続けられるのか。ネット住民に言わせれば、その答えはすでに出ている。すなわち、「ブームの背後に電通がいるからだ」(その真偽については92~95ページ「ももクロのCMはAKBへの牽制!?」で分析)。

 後述するような電通の”巨大さ”ゆえか、はたまたその”黒い歴史”ゆえか、この手の「電通黒幕説」は、AKB48ブームに限らず日本国内のさまざまな事象について、盛んに囁かれてきた。大手メディアを支配して原発報道を歪めたのも電通なら、韓流・K-POPブームを巻き起こして日本人を洗脳しようとしているのも電通であり、政界を裏で牛耳って首相のクビをすげ替えているのも電通である、といった具合にだ。ネットではもう、完全に日本の陰の最高権力者扱いなのである。

 中でも世間の耳目を集める芸能界は、そうした噂の多いジャンルのひとつだ。電通の営業マンは芸能事務所の接待攻勢で毎日酒浸り、事務所側からのワイロも当たり前、場合によっては枕営業でタレントとヤレちゃう、等々。芸能事務所が所属タレントをCM枠になんとかねじ込もうと、大手メディアや大クライアントとつながりのある電通マンを篭絡し、両者はズブズブの関係になっている、などという見方が半ば常識化しているのだ。

 では、本当のところはどうなのか? 電通と芸能プロダクションはどのような行動力学のもとに関係を築き、電通マンと芸能プロ関係者は具体的にどう付き合っているのか? 本企画では、そうした部分に光を当て、そこから垣間見える日本の広告と芸能界のあり方について分析を加えてみたい。

 その前に、そもそも電通とはどのような企業なのか。国内の広告市場で長年首位を独走する電通。11年度のグループ連結売上高は約1兆8931億円(!)で、単独の広告代理店としては世界第1位だ。また、世界の広告市場の10・5%を占める日本の市場における同社のシェアは24・2%で、第2位の博報堂DYホールディングス(13・3%)や第3位のアサツーディ・ケイ(5・3%)を大きく引き離している。数字だけなら、世界に冠たる大企業なのだ。

 にもかかわらず、先述の通り一部で同社の評判は非常に悪い。その要因のひとつは、同社の”ブラックな来歴”に隠されている。1900年代初頭に通信事業と広告事業の2本立てでスタートした電通は、国民総動員体制発動前夜の1936年、通信の一元化による情報統制を狙う軍部・政府の方針によって、半ば強引に広告専業となった。つまり電通は戦前、ある意味”国策企業”だったわけだ。そのせいか同社は戦後、公職追放された政財界人や軍人、満州鉄道関係者などを大量に受け入れたとされる。

 戦後、47年からは、「取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……」などの「鬼十則」で知られる吉田秀雄を第4代社長として戴き、同社は急速に近代化していく。単に企業からの広告を集めるだけでなく、みずからイベントを仕掛けていくやり方も身につけ、84年ロス五輪ではスポーツイベントに初参入、ついに01年11月には、東証一部に上場を果たすのである。

 さて、そもそも広告代理店の主な仕事は、クライアントである企業からの依頼を受けて、その企業をPRするための広告ツールを作り、企業のイメージアップを図ったり商品を人々に知らしめたりすることだ。当然その広告ツールは、消費者の関心を惹くものでなければならない。だからこそ、人々によく知られ、愛されているタレントを起用するのが、CM制作においては王道なのである。であれば、タレントを使ったそうしたCMの制作過程をのぞくことで、電通の本来の姿が見えてくるに違いない。そこでまずは、テレビCMの制作現場に焦点を当て、関係者の意見を交えつつ電通の実像に迫ってみるとしよう。

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