アボンヌ安田が“強制的に性的対象として見られる恐怖”を味わわされたサイゾー鬼編集との交戦記録

――1999年の創刊以来、芸能界から政財界、ヤクザにIT業界まで、各業界のウラ側を見てきた「サイゾー」。巷間騒がれる小誌の魅力をもっと多くの人に知ってもらいたい! そんな思いから、「サイゾー」を愛読している物好きな(失敬!)有名人からおなじみの識者の方々に、「サイゾー」でしか読めないオススメ記事を選んでもらいました!!  今回選んでもらうのは、小誌ではおなじみのゲイライター・アボンヌ安田さん。最近はテレビ出演に『TV Bros.』での連載と活躍の幅を広げている彼が選んだ、「サイゾー」のオススメ記事とは?

 サイゾーさんで本格的にお仕事させていただくようになってから、かれこれ5年以上は経つわね。5年前のアタシはまだ学生で、「カバンが重たくなるから」という理由でノートも持たずに取材に出かけるようなクソガキだったから、当時の担当女性編集者Tさんによく怒られたものよ。Tさんからはほかにも色々とライターとしてのイロハを教えていただいて、本当に心から感謝してる。校了日付近はいつも鬼みたいだったけどね。作業が連日明け方まで続いて事切れそうになっていようが、そんなことお構いなしに鳴り続けるTさんからの電話。「殺される」って何度か本気で思ったわ。

 そんなTさんが某大手出版社に移られ、次にアタシの担当になったのが、今もお世話になっている同い年の女性編集者Cよ。全国知名度ランキング最下位でお馴染みの群馬県出身のせいか、佇まいからして「いえ、私なんて……」という謙虚さが滲み出ていて、誰に対しても腰が低いの。でもね、3年近く一緒にやってきたアタシは知ってる。Cは恐ろしい女よ。Tさんなんて比にならないほどの鬼編集なんだから。その証拠として、アタシが鬼編集C相手に攻防した戦歴ともいえる記事3戦をご紹介するわ。

『【新宿二丁目グルメ】──"男の味"を堪能できる、知る人ぞ知る名店マップ』
(2011年6月号「連載」より)

 今思えば、Cに「二丁目の中に24会館っていう有名なハッテン場【編註:ゲイの男性同士が出会い、かつ性行為に至れる空間を有料で提供している施設のこと】があるんだけど、聞くところによると飲食も提供してるんだって」とぽろっと漏らしたのが運の尽きだったわね。あの時の自分に「言うな。行かされるぞ」って忠告してやりたい。二丁目の路上で「ハッテン場は行ったことないから怖い! ひとりは嫌!」と必死で懇願するアタシに、「私、女だから入れないので。頑張ってください」とだけ言い残して去って行ったCの後ろ姿は、たぶん死ぬまで忘れないと思う。そして24会館で遭遇した、ロッカーの陰から左半身だけ覗かせてじっと見つめてくる半裸のオジサンの姿も、忘れたくても忘れられない。“強制的に性的対象として見られる恐怖”というものを、生まれて初めて思い知ったわ。

『コレステロール値××の編集Cが1週間の断食に挑戦! 覚醒のその先に見たものとは?』
(2011年8月号「ブームの闇、暴きます。」【速攻ダイエットの知られざる効用】より)

 ハッテン場の件で恨みを募らせていたアタシが、ここぞとばかりに復讐に出たのがこの時。断食5日目で立っているのもやっとな様子のCに「お世話になってる方から焼き菓子いただいたのよ。一緒に食べようと思って……あ、断食中でしたっけ? 残念だわ、すっごく美味しいのに!」と捲し立てて、目の前で貪り食ってやったわ。アタシ、弱り目を叩くタイプだから。普段はおっとりしているCもさすがにこれは効いたみたいで、それまで見たことない形相になってたわね。ざまあみろよ。

『小誌ゲイライターが公開剃毛で挑戦!『CAM4』で震災復興支援金を稼げるか?』
(2011年10月号「IT業界禁断のウラ側」【最新エロ課金サイト徹底比較】より)

 これ、打ち合わせの段階ではCが挑戦することになっていたのよ。それがいつの間にかアタシに代わっていて……「やられた」と思ったね。あの女、編集長に上手いこと言って仕組んだに違いないわ。ちなみに「サイゾーpremium」では、アタシのチンコが写り込んでいる写真にモザイク処理が施されているんだけど、本誌にはほぼ無修正で掲載されたのよ。校正紙を確認した時に「これはまずいでしょ」って指摘したら、あいつ、なんて言ったと思う? 「ちっちゃいから大丈夫です」って。セクハラよ! おまけにツイッターで読者の方から「海老天の横に写っているのはシシトウですか?」って言われるし……。陰毛はすっかり生え揃って元通りになったけど、心に負った深い傷はまだまだ癒えていないわ。

 今のところ、アタシの戦績は1勝2敗。「初脱ぎで無修正」という、使い捨てのAV女優みたいな扱いを受けたことを考慮したら、実質2敗じゃ済まないかもね。ただ、Cには「『丸坊主にされた』と報じられた青田典子に捧ぐ──"殺す"前に読むべき! DV本のススメ」という記事で、ライターを志した頃から抱いていた「作家の中村うさぎさんとお仕事をする」という夢を叶えてもらったり、アタシひとりでは実現不可能なことを可能にしてくれているのも事実。それ考えたらね、ハッテン場の件もチンコの件も、水に流してもいいかなって気になるのよ。流さないけど。

アボンヌ安田(あぼんぬ・やすだ)
1984年、神奈川県生まれ。16歳くらいで同性愛に目覚め、21歳くらいからライター業を始め、現在は今後の人生の糧になる“お布施の対象”を探している。「サイゾー」(小社刊)、「週刊女性」(主婦と生活社)などを中心に執筆を行い、「テレビブロス」(東京ニュース通信社)では、コラム「おんなブロ覗き見帖」を隔号で連載中。現在、小社スピリチュアルサイト「ハピズム」でも「アボンヌ安田の『神様が欲しい!』」を好評連載中。

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