ついに法廷闘争終結! 東方神起の契約騒動をめぐる検証・スクープセレクション

――1999年の創刊以来、芸能界から政財界、ヤクザにIT業界まで、各業界のウラ側を見てきた「サイゾー」。巷間騒がれる小誌の魅力をもっと多くの人に知ってもらいたい! そんな思いから、「サイゾー」を愛読している物好きな(失敬!)有名人からおなじみの識者の方々に、「サイゾー」でしか読めないオススメ記事を選んでもらう『あの有名人&識者が選ぶサイゾーレコメンド!』企画。その番外編として、「サイゾー」編集部員が「ひとつのテーマ」に沿って記事を選んでみました。今回のテーマは「東方神起」です!

『BEST SELECTION 2010(2CD+DVD)』

 現在のK-popブームの立役者であり、活動休止を経て2人になった今も人気は衰えない東方神起。ちまたではアンチ韓流の動きもありますが、そうした人達の間でも「彼らは認めよう」という声があるようですね。基本的にヘイトスピーチが嫌いな人間としては、「認めよう」とはどういう立場から言ってるのか、とツッコみたい部分もありますが、ともあれ彼らへの注目度が高いことは間違いありません。最近は映画『黄金を抱いて翔べ』にチャンミンが出演したことも話題になりました。そして去る11月28日、活動休止の原因となった契約をめぐる裁判が終結したことが報じられています。脱退したJYJ(ジェジュン・ユチョン・ジュンス)とSMエンタテインメントの間で和解が成立し、専属契約の解除という形で調停がなされました。3年と4カ月の長きに渡った法廷闘争の間には、サイゾーもこの問題に関連したさまざまなスクープを行っています。そこで本稿では、東方神起ファンにして雑誌編集部のK-pop担当(だと勝手に自分で思っている)編集Sが、彼らに関する記事をセレクションしてみました。
 
 サイゾーが最初に彼らを取り上げたのは、まだ5人組だった2009年夏。

『ジャニーズも興味津々! 東方神起の魅力、教えて進ぜます!!』
(2009年9月号特集「東方神起"人気"のナゾ」より)

「東京ドームコンサートに行ったんですが、盛り上がり方がとにかくスゴいんです! このままでいったら、サイゾーの大好きなジャニーズ人気を脅かしますよ!」というライターさんの一言から、特集企画が始まりました。私自身は当初、誰が誰だかさっぱりわからないくらい興味がなかったのですが、この特集をやっていくうちにハマってしまい、校了する頃には完全なファンになっていました。本特集では「なぜ今彼らが日本で受けているのか?」という理由の分析が核でしたが、05年に日本デビューして以来、K-popではなくJ-popグループとして売り出され、徹底的に日本語を覚えさせられて地方の小さいステージから巡業をはじめ……という、まだファン以外にはあまり知られていなかった活動の歴史も追っています。しかし、まさにこの特集の校了寸前、メンバーのうちジェジュン・ユチョン・ジュンスの3人が事務所を訴えた、という一報が飛び込んできました。慌てて特集タイトルやキャッチの文章を書き直したことを、よく覚えています。

 そして裁判が始まりました。08年・09年には紅白歌合戦にも出場し、一般にも知られるようになった矢先の出来事だけに、各種メディアがこぞって追いかけます。むろんサイゾーもその例に漏れず、きっちり参戦しています。まずはこちらの検証記事。
 
『相次ぐ自殺、契約訴訟、金銭トラブル......第二次韓流ブームの裏にある、キケンな利権』
(2010年4月号「スキャンダル&ゴシップ白書」【韓国芸能界の淀んだスキャンダル事情】より)

 東方神起の裁判をきっかけに、その背景にある韓国芸能界全体の事情にも注目が集まるようになりました。兵役の有無、芸能人にも適用される超学歴主義、テレビ番組の制作システムまで、日本と違う社会背景を持つかの国の芸能界は、まだまだよく知られていなかったのです。こちらの記事では、韓国の芸能界でも仕事をする人物たちへの取材をもとに、まだまだ未成熟ともいえる業界事情をつまびらかにしています。取材の過程で耳にした、「東方神起には気の毒だけれど、彼らを礎にしてK-popブームが巻き起こり、韓国芸能界の流れも変わるかもしれない。その功績はとても大きいですよ」という分析は、涙なしには聞けないものでした。
 
 しかしそんなファンの感慨をよそに、裁判が進むうち、JYJ周辺にはきな臭い話が巻き起こってきます。そのスクープがこちらです。
 
『街宣車まで出動したJYJ とエイベックスの仁義なき戦い』
(2011年3月号「ニュース」より)

『7億円の契約金、不可解な動きの裏にあったエイベックスの思惑とは? 重大資料から見えてきた「東方神起・JYJ分裂裁判」の深層』

『JYJコンサートの強行開催の裏で展開された「エイベックス」vs「ザック社」仁義なき戦いの全貌』
(サイゾーpremium「限定」より)

 後半2本の記事は、プレミアサイゾーのみで掲載された特別記事。JYJ裁判問題を追ってきたノンフィクションライター・小野登志郎氏が、貴重な裁判資料を公開しています。JYJは韓国の所属事務所・SMエンタテインメントのみならず、日本でのマネジメントを手がけていたエイベックスとも契約をめぐって裁判をしていました。それに伴い、行政や右翼までも巻き込んだスキャンダルが噴出。そしてSMエンタ離脱後に彼らのマネジメントをしていたC-JeS社にも、黒い噂が立ち込めます。韓国芸能界で一大勢力を誇るSMエンタを離れ、後ろ盾なしにやっていくことはできない以上、早急にどこかに頼る必要があったということは理解できますが、もう少し相手を選べたのでは……というのが当時の感想です。
 
 その後、ユンホとチャンミンの2人になった東方神起は、avexのもと日本で順調に活動を再開しました。今回、裁判が和解という形で終結したことで「再結成の可能性があるかも!?」などとする報道も出ています。ですが、一部ファンの間では実は、JYJ擁護派vs2人神起擁護派とでもいうべき争いが裁判開始以来起こっているのです。これでまた5人の東方神起に戻ることがあれば、ファンの胸中はより複雑なものになるでしょう。個人的には、今後どういう形になっていくのであれ、かつて東方神起が5人で活動し、それを目にできた幸福な時期が確かにあったのだからそれでいい、と思っています。
(編集S)

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