――人気絶頂の中にあるマンガが、諸般の事情で打ち切りとなり、お蔵入りとなってしまうことが多々ある。そしてインターネットなどで嘘か真かわからないその真相が議論されることもしばしば。ここでは揉め事で打ち切りとなってしまった作品を紹介しつつ、その内幕をケースごとにまとめてみた。
(絵/小笠原徹)
お蔵入りケース【1】
出版社への不信感でマンガ家がぶちギレ
編集者の強引な引き伸ばしや原稿の紛失、編集方針への不信感など不手際などマンガ家と出版社が揉めて、打ち切りとなるケース。
(絵/小笠原徹)
お蔵入りケース【2】
原作者とマンガ家が泥沼のケンカ
作品の方向性の違いや著作権の主張などで、原作者とマンガ家が揉め、打ち切りになるケース。
(絵/小笠原徹)
お蔵入りケース【3】
マンガ家の逃亡や病気で連載が断絶
マンガ家の心身疲労や体調不良、多忙などの理由で製作不能となったり、逃亡したりして打ち切りになるケース。
(絵/小笠原徹)
お蔵入りケース【4】
18禁指定大麻所持で排除
不適切表現や、有害図書指定、マンガ家の不祥事などで打ち切りとなるケース。一般的な封印マンガのパターン。
マンガ誌が出るたびに、真っ先に読み始めるほど楽しみにしていた作品が、突然打ち切りで終了! マンガファンにとって、これほど悲しい瞬間もない。
そして、まことしやかに聞こえてくるその内幕……。「原作者とマンガ家が、作品の方向性について揉めたみたい」「編集者が原稿を紛失して、マンガ家が激怒したそうだ」「あのマンガ家、捕まったらしいよ……」などの噂が語られることも。
「言うまでもなく、打ち切りの理由は人気の低迷によるものがほとんどで、マンガ家との揉め事やスキャンダルなんてめったにない」と、大手出版社のマンガ編集者A氏は語るが、編集者の努力かなわず、なんらかのトラブルによって人気作品が打ち切り・封印の憂き目に遭ってしまうことは、少なからずあるようだ。
こうした編集者も意図せぬ打ち切りのパターンで、最もよくある例が、原作者と作画担当のマンガ家が揉めるケースだ。ラノベ作品などのメディアミックス戦略により、原作と作画が分かれている作品も格段に増えた。
「最近だと“土下座マンガ”として話題になった『どげせん』【1】が、そのパターンに当てはまる。公式発表では、原作者の板垣恵介氏と作画を担当するRIN氏の“土下座観”の違いで、コンビ解消に至ったとされている。その後、板垣氏は「週刊漫画ゴラク」(日本文芸社)で『謝男』【2】を連載開始。一方RIN氏も続編の『どげせんR』を、『ヤングキング』(少年画報社)に移籍して再開したが、いまだにお互いの不満は解消されていないようだ」(前出・マンガ編集者A氏)
事の発端は、もともと原作を描くというより、アドバイスするというスタンスだった板垣氏が、RIN氏の作画に対して不満を持ち、確執ができた。これが拡大しRIN氏と板垣氏が編集部を巻き込み、騒動になった。「板垣氏の作品が新連載なのに『漫画ゴラク』に掲載されたのに対し、RIN氏の本家『どげせん』は移籍しての再開となっているところにも、その後の両者の力関係と確執がわかります」(同)とも言われている。
板垣氏といえば、元自衛隊員で、その気性の荒さが編集者やアシスタントから恐れられる存在。
「板垣さんご自身は、噂されるほどに怖い人ではないけど、作品に対してストイックで、『バキ』の取材のため、本物の格闘家と手合わせに向かうこともあるほど。板垣氏の代表作『グラップラー刃牙』の外伝『バキ外伝 疵面』【3】も、急病による休載の末に打ち切りとなったが、実は板垣氏が仕事に熱心なあまり、作画担当の山内雪奈生氏へ、厳しい指導をしたことにより、マンガが描けなくなってしまったようだ」(マンガ編集者B氏)