大量解雇と並行で事業大幅再編も断行
ドワンゴは、ニコニコ事業部の大幅再編も発表している。10月16日付でのニコニコ事業本部の再編成と共に、13年1月1日付で多くのコンテンツ制作事業が子会社のCELL(ドワンゴコンテンツに商号変更予定)に移行される予定とみられる。収益を上げにくいコンテンツ制作部を切り離す算段か?
ニコニコ超会議の1シーン。比較的若いニコニコユーザーを中心に、幕張メッセの3ホールは各所で盛り上がっていた。
10月初頭、「ドワンゴでリストラ? 退職者が続出まとめ 2012秋編」なる「NAVERまとめ」の記事がネットを駆け巡った。内容は、「ドワンゴで大量リストラが行われているらしい」というIT業界関係者たちのツイートや、9月中にドワンゴ社員たちの各々のブログにアップされた「ドワンゴを退職しました」という趣旨のエントリ、そしてドワンゴ会長である川上量生氏の「会社の方向性が変わるとき、辞める人間が出るのはしょうがないよね」といったツイートをまとめたものだった。
このまとめ記事は話題を呼び、その後経済誌「FACTA」でも、「ニコニコ動画『大量リストラ』の怪」と題した記事を掲載。「一部のアルバイトや契約社員に対して9月末で契約更新の打ち切りを通告」「どうやらニコニコ事業本部の中でも、報道系の番組を担当していた部署が重点的にやられているらしい」と報じた。
『ニコ動』
言わずと知れた動画サービス「ニコニコ動画」の略称。運営会社は株式会社ドワンゴ。初音ミクをはじめ、近年の日本的ポップカルチャーの流行の発信元となっている。
ドワンゴといえば、ニコニコ動画の運営元。同サービスは、初音ミクやMAD動画、「歌ってみた」動画等でポップカルチャーの発信元になると同時に、東日本大震災以降は、東京電力の本社会見、枝野幸男経済産業相(当時)の会見ノーカット配信などで、ネット時代の報道の可能性を牽引してきた。そんな同社に、何が起こっているのだろうか?
「実は『FACTA』の記事で書かれていたのは、事実と少し違っているんです」と語るのは、あるドワンゴ関係者だ。
「ニコニコ動画はプラットフォームになることを目指していたのに、報道部門に色がついてきてひとつのメディアになってしまった。そのため報道関係の部署を縮小すべく重点的にリストラした、という論調でしたが、実際は報道部門だけでなくエンジニアも含めて、あらゆる部署でアルバイトほぼ全員と一部契約社員が首切りに遭っているんです。報道系も30人いたセクションからアルバイトの10人が解雇されたので、確かに多いですが、この部署だけに限った話ではありません。辞めさせられる人は8月末に上司に呼ばれて、『ひと月後の9月末で辞めてくれ』と告げられている。11月1日時点で退職者は少なくとも50人を超えています」