反原発デモと、暴力装置を失った警察機構の”悲劇”

法と犯罪と司法から、我が国のウラ側が見えてくる!! 治安悪化の嘘を喝破する希代の法社会学者が語る、警察・検察行政のウラにひそむ真の“意図”──。

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「反原発デモ」
日本政府が、大飯原発(福井県)の再稼働に向けて最終調整に入った今年4月6日金曜以降本格化し、主に毎週金曜に、首相官邸前などを中心に行われている大規模なデモのこと。山本太郎や坂本龍一など各界の著名人が参加したことでも話題となり、主催者発表では参加者数20万人を超える日もあった(警察発表では1~2万人)。

河合幹雄氏の著書『安全神話崩壊のパラドックス』

 私はこれまで、例えば著書『安全神話崩壊のパラドックス』(岩波書店)において、「日本では犯罪が増加し、凶悪化が進んでいる」という国民の共通認識が、実は統計資料に照らせば誤りであることを論じたりしてきました。今号から始まるこの連載でも、ちまたを騒がせている事件や犯罪などについて、関連するデータや歴史などを交えつつ、他メディアとは違った角度から検証すると共に、そこから、現在の日本社会の状況や抱えている諸問題についても考えていきたいと思っています。

 第1回目は、2012年4月6日以降の毎週金曜日、首相官邸前で数万人以上が参加して行われている「反原発デモ」を切り口として、警察をはじめとする「デモを管理・鎮圧する側」の思惑や、彼らを取り巻く社会情勢の変化について考えてみましょう。

 メディアは、今回の反原発デモの特徴として、SNS経由の自然発生的なものである点や、統率者不在の緩やかな組織体である点などを挙げ、「デモ隊側の従来にはない新しさ」に注目しています。確かにそれはそれで正しい指摘ですが、私は、「デモ隊側」よりむしろ「デモを管理する側」にこそ、より重視すべき「新しさ」があると見ています。それを理解していただくために、まずは戦後の日本におけるデモと治安維持の歴史を振り返ってみましょう。

 戦後日本の大規模デモといえば、1959~60年および70年の安保闘争などが代表格ですが、この時代、警察はどんな思考と行動でデモを管理あるいは鎮圧してきたのでしょうか。

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