下落し続けるフェイスブックの株価
「久しぶりの大型株上場」「第2、第3のアップル、グーグル」。鳴り物入りで5月18日に上場したフェイスブック。公募価格38ドルに対し一時は45ドルまで上昇したが、結局同日は38・23ドルで終了。メディアでは、一気に「期待はずれ」感が広まった。その後は30ドル前後をうろうろしていたが、8月以降は20ドル台前半にまで低迷していたのだ。
「週刊ダイヤモンド」2011年1月29日号
9月1日、アメリカの株式市場「ナスダック」において、投資家たちがため息を漏らした。今年5月の株式公開後ずっと値下がりを続けていたフェイスブック(以下、FB)の株価が19ドルまで下落、ついに公開価格の半値を切ってしまったからだ。
アップルが時価総額で世界一の企業となったように、20世紀末以降のアメリカ経済はIT産業が牽引してきた。多くのIT企業が株式公開し、その後の株価上昇によって莫大な利益が生み出されてきたのである。
「マイクロソフトやグーグルなど著名なIT企業があらかた株式公開してしまった中、9億人が利用する世界最大のSNSという『最後の大物IT企業』。当然投資家たちも大きな期待を寄せ、ヘッジファンドから個人投資家までが、FBの公開株に殺到しました」(証券アナリスト)
ところがFBの株価は、上場初日こそ38ドルという公募価格を上回ったものの、その後は連日最安値を更新し続け、わずか4カ月足らずで半値にまで下落した。上場時で約1000億ドル(約7兆8000億円)だった時価総額は、9月には約400億ドル(約3兆1000億円)にまで下落してしまったわけだ。
その要因としては、スマートフォンへの対応の遅れや創業者マーク・ザッカーバーグの経営手腕への不安などが挙げられている。しかし、最も大きいとされるのが、FB上での広告の収益力の弱さである。
「SNSを活用した広告は、従来のマス広告よりも購買行動につながりやすいといわれている。企業の宣伝よりも友人からの推薦のほうが信頼できるから、というわけですね。ところが、FBの広告は思ったよりも効果がないとして、米ゼネラル・モーターズがFBでの広告を打ち切ってしまったんです」(同)