「新経連なんて経団連の2軍に過ぎない」経団連に阻まれた三木谷の理念なき野望――評論家・佐高信

──楽天を創業し、一代で時価総額1兆円を超える大企業にまで育て上げた三木谷浩史。財界での覚えも良く、このたびの新経連発足で本格的に政界とのつながりを強固にしようとする彼は、果たして日本を変えるのか? 政財界の裏事情に造詣が深い識者たちに聞いた。

佐高信(さたか・まこと)
1945年、山形県生まれ。評論家、「週刊金曜日」編集委員。日本企業や経営者、政財界に対する辛辣な評論活動で定評がある。著書に『佐高信の政経外科』シリーズ、『決定版 タレント文化人200人斬り』(共に毎日新聞社)、『電力と国家』(集英社新書)など多数。

──2011年に経団連を脱退した楽天の三木谷浩史氏が代表理事を務める「新経済連盟」(以下、新経連)が、6月から始動しました。経済団体の新機軸として注目されていますが、佐高さんはどのように評価していますか?

佐高信(以下、) 新経連については、まったく評価していません。そもそも経済団体である経団連自体が、商売そのもので勝負をせず、政治に圧力を掛けて楽に儲けようとする集団。その経団連に相手にされない2軍が集まって、同じ発想で作った団体が新経連です。「三木谷が日本を変えるのか」と言われても、正直、論じる価値すらないよ。

──しかし、経団連が財界において大きな地位を占めているのは事実ですよね。そんな中、三木谷氏は「電力業界を保護しようとする態度が許せない」として、経団連を飛び出した。これには、自身の意見が通らないことに対する苛立ちも強かったのではないかと思われます。なぜ、三木谷氏は経団連において、強い発言力を持つことができなかったのでしょうか?

 経団連は保守的な団体だから、日本の“ものづくり神話”を引きずっていて、基本的にはメーカーの人間が出世するという不文律がある。ダイエーの創業者・中内功が副会長になったことがあったけど、これは例外中の例外だし、かつては「スーパーなんか、“スー”と出てきて“パー”と消える」と言われたものだった。そこに来て、ネットショッピングなどを展開する楽天は、出店者を集めて場を提供するだけの「他人のふんどし」で相撲を取っている企業のようなもの。結局、経団連や財界というのは、ものづくり系の企業でないとインナーサークルの深くに入っていけない体質が根深く残っています。

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2024.11.22 UP DATE

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