沖縄「復帰」後の40年が問う忘却と本質

──過去から見る現在、写真による時事批評

比嘉豊光「コザ・全軍労」1971年

 2012年5月15日、沖縄の日本への「復帰」から40年目を迎える。が、国土面積の約0・6パーセントにすぎない沖縄に在日米軍基地が集中する状況に変わりはない。ベトナム戦争の前線基地となっていた40年前の沖縄は、米兵が起こす事件や事故によって日常の安全を脅かされ、被害と加害の島として「例外状態」に置かれていた。69年の佐藤・ニクソン共同声明により「72年・核抜き・本土並み」返還へと舵が切られると、「復帰」に対する疑問が渦巻いていく。そうした中、「復帰」を見据えた米軍再編とそれに伴う経費削減によって基地労働者の大量解雇が始まり、沖縄最大の労働組合・全軍労の闘争も激しさを増す。基地労働者でありながら基地を否定する方向に進んだ全軍労の組合員たちが米軍に個人認識されないように顔を隠してデモ隊に参加していたように、全軍労闘争は基地経済に依存する沖縄の抱える矛盾を体現していた。

今すぐ会員登録はこちらから

人気記事ランキング

2024.11.22 UP DATE

無料記事

もっと読む