みずほのシステム障害はまた起きる!? 融資したくない企業はどこだ? メガバンク3行の苦悩を聞く

──金融機関なくしては成り立たない現在の企業社会で、融資の最前線に立つ銀行員たちが思う、「本当はお金を貸したくない企業」はどこだ !? ITベンチャー等の成長株を見極めきれない、肥大化した銀行側が抱える限界も暴く、三菱東京UFJ、三井住友、みずほの現役バンカーによる匿名座談会開催!

【座談会参加者】
A…三菱東京UFJ銀行行員、30代男性
B…三井住友銀行行員、20代男性
A…みずほコーポレート銀行行員、20代 男性

『メガバンクがなくなる日』(主婦の友新書)

A さて、今回は、我々3大メガバンクと呼ばれる銀行に勤務する現役行員たちで、最近の銀行事情をあれこれ語っていこう……ということなんだけど、まずここ1年だと、融資関連でやっぱり大きく話題になったのは、東京電力への緊急融資だよね。

B 震災直後の11年3月に、三井住友が6000億円、みずほが5000億円、UFJが3000億円、そのほかの信託系などとあわせて最終的に2兆円を東電に貸し出しました。で、今年の3月に追加で計1兆円。今度は三井住友が約1000億円、みずほが600億円、UFJが400億円でしたね、確か。そしてさらに5月上旬に再度の追加融資に応じることになりそうといわれています。もともと追加融資の条件として提示していた「電力の値上げ」と「2年後の原発再稼働」が、5月上旬に認定される総合特別事業計画に盛り込まれるめどがついたので応じた、と。

C 詳しいですね(笑)。

B うーん、僕の担当業務には全然関係ないんだけど、個人的に脱原発の動きに肩入れしてるんだよね……。実は休みの日には時間を見つけてデモに行ったりもしていて。でも会社内では絶対言わないようにしています。あと、デモの現場で親しくなった人にも、自分の仕事は明かさない。適当にごまかしてる(笑)。だって、東電を──というか原発を延命させる立場なわけじゃない? 先日も大手町の本店前に反原発団体から抗議デモをかけられて、「原発再稼働の黒幕」呼ばわりされてましたよ。本店の人たちは、基本的に見て見ぬふりしてたみたいですけど。これは2人もわかると思うけど、原発をめぐる議論とか、担当部門でもない限り興味ない銀行員が大半でしょ。そうした政治的発言はなんとなくしづらいのは大銀行に共通していそう。

A みんな、興味ないね。というか、Bさんには悪いけど、僕自身も関心がない。たまにツイッターなんかを覗いたときに、放射能の飛散で関東を離れるべきだのなんだの騒いでる人たちを見ると、すごく遠い世界のことのように感じるよ(笑)。大体、こっちが融資してるのだって、火力発電に切り替えるせいで運転資金が以前よりかさむからなんでしょう? 「値上げは嫌です、でも原発は今すぐ止めろ」なんて、そんな都合のいい話はないですよ。

B しかし実際のところ、今回東電に融資した額はちゃんと回収できるのでしょうか。

A 仮に東電がダメになっても国が返してくれるでしょう。政府から1兆円の出資を受けて、実質国有化されるんでしょ? それで返さないってことはないでしょ。泣き寝入りできる額じゃないし、かかわってる金融機関の数が多すぎる。まぁ、原子力でないエネルギー発電でどれだけ収益をあげられるのか、見ものだね。

B いや、そんな他人ごとの話ではなく……。

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