“無罪”の小沢一郎を叩き続ける新聞社と検察のふしだらな関係

『検察vs.小沢一郎』(新潮社)

 沢一郎はなぜ、新聞各社に叩かれるのだろうか。

「結論はシロだが、『潔白』ではなく『灰色』という司法判断だろう」(読売新聞)

「証人喚問に応じ、説明責任を果たすべき。このまま政治的に復権することは許されない」(産経新聞)

 政治資金規正法違反の罪に問われていた民主党の小沢元代表に無罪判決が下された翌4月27日、大手新聞各紙は、そんな判決などまるでなかったかのような小沢バッシングに終始した。あるベテラン司法記者も「司法の場で無実となった人に向かい、大手新聞がことさら“犯人視”報道をぶり返したケースは記憶にない」と、違和感を隠さない。「人権派」であるはずの朝日新聞ですら、自社サイト「WEB RONZA」【1】で、無罪判決の2日後、こんなコラムを掲載している。

「東北のゼネコン談合組織の中で語られてきた小沢事務所の影響力について、私も1990年代に複数の関係者から情報を得ていた。だが、決定的な裏付け証拠をつかめないまま、何年も過ごした記憶がある。独自の調査報道をめざした我々の取材で、政治家側とゼネコンの間でやりとりされる水面下の資金を突き止めるのは、容易なことではない。検察が、小沢事務所の利権解明に乗り出して成果をあげたことに対しては、今でも高く評価している」(市田隆・朝日新聞編集委員のコラムより)

 強引に利権解明に切り込んだものの、小沢氏を起訴すらできなかった検察の体たらくに苦言を呈するかと思いきや、まるで談合事件に裁きが下ったかのような書きっぷり。大手新聞はなぜ、「小沢憎し」のスタンスを続けるのか? 大手新聞社記者が語る。

『小沢一郎』
衆議院議員。民主党元代表。党内では絶大な影響力を持ち、非主流派ながら、今後の政局を左右する存在といわれる。5月24日に、70歳を迎える。

「社会部についていえば、司法記者クラブに所属していると検事たちの意向に染まりやすい面はある。例えば、法務省の事務次官は判決前、『半分有罪、半分無罪』と漏らしていました。小沢公判で、次々と検察の調書が証拠として不採用となる中で、池田光智元秘書の調書だけ採用されたものですから、池田氏がかかわった虚偽記入罪だけ有罪になるのでは、という考えが社会部内に広まりました。あるいは、弁護士になった元特捜部長の大鶴基成さんも、いまだに『あれは有罪だった。証拠がある』と主張しているそうです。こうした日常的なネタ元からの影響で、彼らの“長年の敵”である小沢憎しのスタンスに、記者も陥りやすいんです」

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