ジャーナリストがソーシャルゲーム業界を語る「成長力の正当評価のため、ビジネスモデルの修正を」

――批判を覆すために、今必要なものは何か? デジタルコンテンツ業界を取材し続けてきたジャーナリストが、プラットフォーム2社に期待することとは──。

まつもとあつし
ジャーナリスト。ネットベンチャー、出版社等を経て、現在東京大学大学院情報学環博士課程在籍。ネットコミュニティやデジタルコンテンツのビジネス展開についての研究・取材などを手がける。著書に『ソーシャルゲームのすごい仕組み』(アスキー)、『スマートデバイスが生む商機』(インプレスジャパン)など。


【○】コンシューマーゲームへのフィードバックが生まれれば、再びゲーム大国となる可能性が。
【×】ギャンブルとみなされがちなビジネスモデルでは、海外展開も苦労するはず。

──ソーシャルゲーム業界に対しては、今現在賛否が共に存在している状態です。著書『ソーシャルゲームのすごい仕組み』で、その可能性と問題点の双方を指摘されたまつもとさんは、率直に同業界が今後どうなっていくとお考えですか?

まつもとあつし(以下、) 今、大事な分岐点に来ていると思います。報道されているように、ガチャ、特に射幸心を煽るコンプガチャを多用して収益性の高さを追求してしまうと、公的な規制、あるいはすでに一部で始まっていますが、業界側で自主規制の動きを取らざるを得なくなる。いずれにしても規制は収益性を損ねるので、ガチャに依存しすぎないことが大事でしょう。

──しかし、『ソーシャルゲームの~』にも書かれていましたが、現在GREEやDeNAといったプラットフォーム企業は、全ユーザーのうち25%の課金者からの収益で成り立っているとされています。プラットフォーム側としては、この25%からの収益を増やさないと儲かりませんよね。

 収益性を高める方法は2つあります。ひとつは、お客さんにさらにガチャをたくさん回してもらい、アイテムをたくさん買ってもらう、重課金への道です。しかし、これは今言ったように危険な方向性。もうひとつが海外への進出です。課金ユーザーの比率やARPU(月間電気通信事業収入)はそのままに、市場自体を大きくすることで収益を上げる方法です。

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