関東学院大学准教授・岡嶋裕史が語る孫正義──情報の流れを掌握して再配布、吉と出るか?

関東学院大学准教授
岡嶋裕史(おかじま・ゆうし)
1972年生まれ。中央大学大学院総合政策研究科博士後期課程修了。富士総合研究所勤務を経て、関東学院大学准教授。著書に『ポスト・モバイル』(新潮新書)、『アップル、グーグル、マイクロソフト』(光文社新書)など。

[ソフトバンクと孫正義の評価]
【○】情報を流すパイプを整備し続けて、各業界に風穴を開けてくれた、その功績に感謝したい。
【×】もういい年で世界に名を知られた名士なのだから、リスクを自ら演出して注目を集めようとする手法は、そろそろ終わりにしては。

■ITの発展を追いつづけてきた研究者だからこそ読み解けるグローバルIT企業としてのソフトバンクの立ち位置。

 ソフトバンクという会社が何を目的としているかというと、情報を一回掌握して個人がアクセスしやすい形にして再配布すること、そして、情報の流れをすっきりさせるということに、極めて高いモチベーションを持っているといえます。その中でも、情報を通す経路を作るのが、孫さんが常にやり続けてきたことでした。

 ご本人が意識しているにしろ、していないにしろ、土管を通して情報を流すのが、孫さんのやり続けてきた仕事ですから、ヤフー!BBであれだけ勝負をかけたのも、必然だったように思います。ナローバンドでユーザーが苦しんでいた時期に、廉価なブロードバンドを整備すれば儲かるだろうと誰しもがわかっていても、多大なリスクを負ってまで踏み切れないでいたところを、昔からリスクを取って物事を動かすのを好んだ孫さんは勝負をかけたわけです。

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