ソフトバンクが頼り続ける”モバイル戦略”の危うさ──グループのビジネス戦略を徹底分析!

──ソフトバンクグループの事業は、実に多岐にわたる。一大コングロマリットとなった同グループの真の狙いはなんなのか──肥大した全貌を見通し、その先行きを占ってみた。

 いまや「ケータイ」「ブロードバンド回線」「固定電話」「インターネット」の4つの事業を柱に、連結子会社数117社、持分法適用関連会社73社にも及ぶ巨大ITグループに成長したソフトバンク。現在は直接的な資本関係こそないが、かつては金融部門を務めたSBIホールディングスとの人的つながりもいまだ濃く、「ソフトバンク」勢力の一翼を担っている。

 果たして孫正義はいかにして、今日のソフトバンクグループを築き上げたのか? 成長の歴史の詳細は本特集概論部に譲るが、ここでは簡単に、グループが横に広がっていった経緯をたどっておきたい。『孫正義の10年後発想──孫正義のIT革命の読み方』(あっぷる出版社/00年)などの著書を持ち、同社がここまで大きくなる前夜を知る経済ジャーナリストの溝上幸伸氏に聞いた。

「これまでソフトバンクグループ成長のきっかけには、大きく3つの流れがあります。ひとつ目は、96年にヤフーに出資したこと。創業したばかりの頃に出資したので、ヤフーの株価上昇に伴って何千億円もの含み資産を得ました。これを元手にいろんな会社を買いまくってグループ化した。2つ目は、00年に経営破綻した日本債券信用銀行(あおぞら銀行)を買ったこと。当時、『一私企業が銀行を持っていいのか』と、ものすごく叩かれました。そこで、グループ内でビジネス部門と金融部門をキッチリと分け二重体制にした」

 当時はインターネットバブル真っただ中。あおぞら銀行買収後の00年2月にソフトバンク株は1株19万8000円の最高値をマークし、トヨタ自動車に次ぐ第2位となった。

「3つ目が、06年に1兆7500億円でボーダフォンを買って、ケータイ事業を始めたことです。もともと孫さんには『インターネット財閥を作る』という夢がありましたが、この10年はインターネットビジネスの延長として、プラットフォームを押さえようという動きにシフトしたことがうかがえます。01年頃に始めたADSL事業が爆発的にヒットし、インフラ事業で味を占めたのでしょう。以後も日本テレコム(現ソフトバンクテレコム)、そしてボーダフォン(現ソフトバンクモバイル)と、インターネットの土台となる事業に力を入れてますね」

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2024.11.25 UP DATE

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