──危険地域に踏み込み、生々しい光景をカメラに収める――。ドキュメンタリー写真と聞いて、そんなイメージしか浮かばないあなたは、見識の低さを自覚すべきだ。写真による記録とは、かくも奥深く多様な表現なのだから。
■ベトナム戦争の現場と米兵の蛮行
【1】『VIETNAM INC.』
Philip Jones Griffiths/1971年/Collier
1966年から70年にかけてベトナム戦争を取材。緊迫した戦いの現場はもちろん、現地でのアメリカ兵の蛮行もカメラにとらえたグリフィスの作品は、当時の反戦運動を加速させるきっかけにもなった。